<軽減税率>事業者コストが中小企業に過大な負担?
事業者負担は発生しないとの見方も
なお、軽減税率を選挙公約に掲げた公明党の税調は、既に軽減税率を導入している韓国を訪問し、以下のような結果を得たと、公明新聞では報じています。 「国税庁の説明では、原則として取引ごとに税金計算書を発行しなければならないが、負 担軽減策として1カ月分まとめて発行することができるようになっているという。また、 現在はコンピューターシステムの普及によって納税事業者は『電子税金計算書』で簡単 に納税事務を処理している。調査報告では、納税事業者や法務法人からのヒアリングを 通じ、税率が10%(課税)と0%(非課税)の複数あっても『事務負担を苦にする声は なかった』としている。 (中略) 韓国の調査を踏まえ、西田事務局長は『事業者からの問い合わせに応じる行政の対応や、 コンピューターシステム導入への支援が円滑な軽減税率導入に向けて大事だ』と語った。 公明新聞:2014年10月29日」 先行して導入している韓国では、あまり事業者の負担は発生していないし、もし発生したとしても、行政対応やコンピュータシステム導入へ適切な支援をすれば対応できるという考え方ですね。
具体的にどれくらいの負担になる?
さて、お気づきになられたかもしれませんが、このような記事を書く際に、事業者側の負担の具体的な数字を挙げておりません。これがもう一つの問題であると私は考えます。 「あなたの怠慢だよ」と言われればそれで終わりかもしれませんが、少し調べたくらいでは事業者側にどの程度のコストが発生するかについての議論を把握することができないのです。 「インボイスが必要になり、それを作れないと大手企業と取引が難しくなるかも」とか「POSレジの置き換えが必要である」といった議論はあるのですが、具体的にそのコストがどの程度なのかを示している資料がないのです。 もちろん軽減税率という選択肢が提示されるのはいいのですが、それは誰が得をして、誰に対して負担を強いるのか? そして負担はどの位の水準となるのか? 特に、中小事業者にとっては大きな負担となると考えられるこの事務コストについて具体的に触れぬままに議論が進んでよいのかということが疑問なのです。