「それでも私は結婚したい…」フラれて泣いた日々に、いつかサヨナラ…進藤さんの婚活漂流記 #ザ・ノンフィクション #ydocs
「婚活」は時代を映す鏡…コロナ禍でのコミュニケーション不足が招いた深刻な事態
2015年から足掛け9年、婚活の現場を取材し続けてきたが、結婚相談所は時代を映し出す鏡だと感じる。 以前は、男性会員は相手に“良妻賢母”を望む傾向が強く、女性会員は相手に高収入を求め「子どもが生まれたら家庭に入りたい」という人が多かった。 しかし、コロナ禍を経た現在は、男性には家事能力、女性にも学歴や年収などの「頼りがい」が求められる。「花嫁修業」という言葉は死語になったらしい。 と同時に、相談所ではある深刻な問題が起きていた。 人と対面で会う機会が極端に減ったコロナ禍の影響からか、会員のコミュニケーション能力の低下が目立つようになり、交際に進む確率が低下していたのだ。 植草さんは「男女ともに相手の立場に立って物事を考えるということが苦手になったと感じます。女性は相手のちょっとしたことですぐ怒り、男性は自分がどう見られているか、相手が自分に何を望んでいるのかを読み取れない」と分析。 「これでは結婚できたとしてもその後の結婚生活はいばらの道です。そうならないために、婚活中にコミュニケーションを学ぶ必要があるんです」
天使のような理想の女性にフラれ涙するも…「しょうもない人生を変えてやる」
自分の見た目に関心がなかった進藤さんだが、美容室で髪形のセットや、眉やヒゲ、肌の手入れ方法を学んだ。婚活前は、母親が量販店で買ってきた洋服を着ていたが、今では自分で店に足を運ぶようにもなった。 そうして47回目のお見合いで出会ったのが、3歳年上の歯科助手・新田さん(仮名)だった。 それまで両親が離婚し母親と二人で暮らす進藤さんを「マザコン」などと敬遠する女性も多かったが、新田さんは「母親に料理を習っている」と話す彼を、「偉いですね」と褒めてくれた。理想の女性だった。 めでたく「仮交際」に進み、初めてのデートに臨んだ。 植草さんのレッスン動画で学んだ通りに、彼女の希望を聞いて店を予約し、優しくエスコートした。会話も弾み、彼女もとても楽しそうに見えた。