レンタルからリユース事業への転換で成長、ゲオホールディングス遠藤結蔵社長が語る「先見力」の源泉
■ リユースの経験を生かし新たなビジネスにも参戦 ――メーカーから売れ残った製品などを買い取って、低価格で販売するオフプライス事業も始めました。 遠藤 アウトレットが自社商品のみ販売するのに対し、オフプライスではメーカーが混在しています。日本ではまだ認知度が低い領域ですが、北米では7兆円以上のマーケットがあるので、今後は一定規模の市場が育つのではないかと思っています。 消費者が一度使ったものなのか、新品かの違いはありますが、商品をお譲りいただいて販売するのでリユースに近いビジネスといえます。 ――ただ、消費者が店舗に品物を持ち込むリユースと違い、買い取れる商品の情報を得るのが大変そうですね。 遠藤 そこは泥臭くやらざるを得ません。オフプライスに力を入れるのは、どこかがそのビジネスを成功させると、セカンドストリートにとっての脅威になるという懸念もあるからです。やはり、同じ商品を買うのに新品のオフプライスと中古のリユースを比較すると、オフプライスが選ばれやすいと思いますので、これから新規参入が増えてくるかもしれません。 ――リユース事業のノウハウやシステムを外販する「リユースアライアンス」の試みもスタートさせましたが、その狙いはどこにありますか。 遠藤 リユースは実際にやると、手間がかかって面倒なんです。一次流通のメーカーさんは、物を生み出してマーケティングをしてお客さまに届けるノウハウは持っていますが、われわれのようにどこかで溢れたものを譲っていただいて早く回転させる二次流通とは別のものです。 そこで、二次流通業をやりたいメーカーさんに対して、不足している部分をわれわれが下請けのような形でやらせていただこうという試みです。 ――やりたいメーカーがあれば業種は問わないのでしょうか。 遠藤 今のところは、当社の強みである衣料・服飾やそれに付随している領域を中心に対応していきます。 どんな形で協力するかはメーカーさんの意向次第で、例えばわれわれが買取価格の査定だけを行うのか、セカンドストリートがあるので販売まですべて引き受けるのか等、さまざまなパターンが考えられます。販売に関しては当社に任せずに、メーカーさんの店舗でポイントを使って買えるようにするといったケースもあるでしょう。 ――そうなると、競合を増やすリスクも出てくるのではないでしょうか。 遠藤 そうですね。ただ、難易度の違いはあれど、いつまでもセカンドストリートだけで行けるとは思っていないので、市場を広げていくためにもやっていきたいです。 現状でも複数のお問い合わせをいただいているので、要件定義をしながらシステムを構築しているところです。事業規模がどれくらいになるかは実験段階なので何とも言えませんが、北米にはそうした会社がいくつも出てきているため、メーカー側のニーズがあるなら日本でも広がる可能性はあると思います。 ――ゲオホールディングスの将来展望についてどう描いていますか。 遠藤 今は年間売上高5000億円を切る規模ですが、2035年くらいには規模を倍にしたいと考えています。その時の一丁目一番地はリユース事業になるでしょう。 セカンドストリートの店舗拡大に関しては、商圏に対して一番良い立地を探しています。人口比で言うと首都圏と関西圏は占拠率がまだ低いので増やしていきたいですが、条件に合う坪数の物件が少ないのがネックになっています。 例えばもう少し狭い物件でも展開できるようにするなど、われわれも形を変えていかなければいけません。店舗形態も含めて、リユースの形をどう変えていくかも、今後の課題になってくると思います。
吉田 浩