「僕はセレモニーをしてもらうまでの選手になれなかった」大田泰示は静かにDeNAを去って…古巣コーチ就任へ「泥臭くやってこられたのが財産」
16年間プロをつづけられたわけ
通算成績は、907試合、718安打、84本塁打、343打点、打率.259。トータルとして一見すれば凡庸なスタッツかもしれないが、プロ野球選手として強烈な魅力や人間力が高くなければ、16年間もプロ生活をつづけることはできない。 「ただの負けず嫌いなんですよ。僕は負けることで気持ちが強くなるし、もっと鍛え直さなきゃって思うんです。で、その目標に対し遠回りだったかもしれないけど、しっかりと向かって歩んでいけたというのが、この16年間で掴み取ったものだと思います。つまずきそうになっても『やっぱ無理だ』と一度も思わなかったのは自分の中では大きかった」
泥臭い野球人生
敬意を込めて、泥臭い野球人生でしたね、と伝えると大田は声を上げて笑った。 「はい、泥臭くやってきましたし、携わってくれた監督、コーチ、選手、スタッフの方々も泥臭い人が多かったので、そういう人たちと一緒に歩めたのも僕の財産ですよ」 打席でも守備でも、そしてベンチでも衆目を集めた独特のオーラ。ひたむきな姿勢、情感がほとばしるプレーの数々。一度たりとも諦めることなく戦いつづけた16年間――。 大きなプレッシャーの中、もがき苦しみ戦いつづけた巨人時代、才能を開花させた日本ハム時代、そしてハマスタの夜空に響き渡った「ヨコハマサイコー!」の絶叫を、ファンは決して忘れることはないだろう。ダイナミックなプレーで野球の本質的な魅力と面白さを体現することのできた稀有な選手のこれからに、幸多かれと思わずにはいられない。 〈全2回の2回目〉
(「ハマ街ダイアリー」石塚隆 = 文)
【関連記事】
- 【はじめから読む】「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」
- 【写真】「ヨコハマサイコー!」DeNA、日ハム、巨人…大田泰示の歩みと今季日本シリーズの横浜の躍動を写真で見る
- 【帰還】「強くなっていくDeNAに羨ましさも」村田修一、ハマに帰還…コーチ打診の1本の電話「『また一緒にやってくれるか』と」「息子も喜んでくれて」
- 【感動】日本一の瞬間「亡くなった女房が降りてきて…」DeNA初代監督・中畑清が日本シリーズ解説で涙したわけ「こんな景色が見られるときが来たんだと」
- 【再起】「自分は今、戦っている」「これがプロ野球だな」“ハマのサブマリン”DeNA中川颯の刺激的すぎる1年…日本一のビールかけは「天国みたいでした」