「僕はセレモニーをしてもらうまでの選手になれなかった」大田泰示は静かにDeNAを去って…古巣コーチ就任へ「泥臭くやってこられたのが財産」
横浜は最高のチョイスだった
そしてノンテンダーを経てのDeNA入団のとき「この選択は間違いではなかったと証明したい」と語っていたが、今はどのように思っているのだろうか。 「最高のチョイスをしたと思っていますよ。広島から上京して、高校から神奈川でスタートして、終わりも神奈川というのは感慨深いものがあります。本当に縁のある土地なんだなって。ハマスタのファンの方々もウェルカムでたくさん応援してくれて、本当温かい言葉しか掛けてもらわなかった。後押ししてくれて一体となってプレーすることができましたし、改めてベストな選択だったと思います」 目尻のシワを深くし、力強い声で大田はそう言った。
ジャイアンツアカデミーを選んだわけ
そして新しい人生、大田は『ジャイアンツアカデミー』でジュニア世代の子どもたちを指導していく。いろいろな誘いはあったというが、なぜこの仕事を選択したのだろうか。 「ジャイアンツはドラフト1位で指名して頂き、僕が8年間過ごしお世話になった球団なので、もう一度ここに身を投じ、一からまた勉強し直して、ゼロからのスタートを歩みたいと思ったんです。何て言うんですかね、トレードで外に出てファイターズで素晴らしい経験をさせてもらいましたが、欲を言えばやっぱりジャイアンツでレギュラーを掴んで活躍するのがプロに入ったときのそもそもの目標でした。そういった意味では形は違いますけど、自分としてはジャイアンツに貢献したいと思い、お世話になることを決めました」
どんなコーチになるのか
初志を忘れることのない、義理堅い大田らしい選択だといえるだろう。果たしてどんな指導者になれたらと考えているのか。 「いろんなタイプのコーチの方がいると思うのですが、僕が今言えるのは……なにもわからない」 わかっていることは、わからないことだけだと大田は笑った。 「未経験ですからね。プレイヤーではなく、人に伝えることが仕事になるので、知識はもちろん言葉のチョイスや声のトーンなど、いろんな勉強をしていかなきゃいけない。ましてや一番純粋な子どもたちを相手にするので、決して簡単なことではありません。まあ何事もチャレンジが必要ですし、スタートさせることが重要。とりあえず探りながら先輩方の姿を見たり、違う業種の方々とコミュニケーションを取りながら勉強していきます」
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