なぜ阪神の揚塩球団社長は電撃辞任したのか…背景に阪急阪神HDトップへの”忖度”
阪神の揚塩健治球団社長(60)が9日、会見を開き辞任を発表した。12月1日付での退任となり後任の社長はまだ決定していない。3月、9月と2度も球団の管理不足により新型コロナウイルスの感染者を出したことに関する引責辞任だが、シーズン途中の球団トップの辞任は極めて異例。報道によると「混乱のいち早い収拾」が理由だという。実は、今回の唐突な辞任劇の背景には「ケジメ」を求めた阪急阪神HDトップへの“忖度”があったと見られる。一見、球団の自浄作用が働いたかのように思われるが、角和夫CEO(71)の発言に代表される阪急グループの”圧力”に対して慌てた内向きの対処に他ならない。本当の意味での責任、ケジメとは何なのか。球団トップの交代だけに終わらぬ組織の抜本的改革が必要だろう。次期社長の人選やGM制度の再導入などの行方に注目が集まる。
辞任につながった”サイン”
異例の辞任発表である。巨人にマジックが点灯。優勝の可能性は、ほぼ消えたとはいえ、まだ26試合が残っており順位も確定していない。セ・リーグにCSはないがAクラス確保という目標がある中で球団フロントトップが責任を取った。揚塩社長は会見前に矢野監督、選手へ辞任の意向を伝えたという。 阪神は3月に藤浪ら新型コロナウイルスの感染者を球界で初めて出した。その際、感染経路がプライベートな会食にあったとされ、球団の管理不足が指摘されていたが、また9月に同じ過ちを繰り返した。チームは「4人以内」「個室」「2時間以内」などの内規を定め、9月は名古屋遠征のあった19日に限り、その条件付きでの会食を許可していたが、福留、糸原らが、内規を破る8人での会食を行い、大量の感染者と濃厚接触者が出た。球団の管理体制が、なんら変わっておらず、選手の危機意識の希薄さも露呈した形だ。 一連の不始末の責任を球団トップが取るのは、当然だろうが、後任も決定していない状況での発表はあまりに唐突だ。 電撃辞任に至る”サイン”はあった。9月末に行われた関西経済界の集まり後に行われた経済記者との取材で、阪急阪神HDの実質の最高トップである角CEOが、今回の新型コロナ問題について触れ、「ケジメをつけなければならない」と激怒。その後、角CEOは、夕刊フジの直撃取材に「球団の管理責任と、ケジメが必要」と強く訴えたのだ。