新富裕層はどんな人? 事業、不動産投資、暗号資産など「令和の金持ち」が明かす実態 #令和に働く
京都市内の高級住宅街にある2億円近くで購入したという低層マンションに住む横田さんだが、じつは現在の貯金はわずか150万円しかないという。いったい、どういうことなのか。 「娘がもうすぐ成人するので、お金を残す必要もない。それに、今からでも何かしらで稼いでいける自信もある。だから別に貯金をしておく必要性を感じないんです。もっとも、資産形成とかに全然関心がないというのもあるんですが」 その一方で、創業社長としての苦労は人一倍感じている。創業して数年目のある年には資金が1億円不足し、経営が逼迫。橋から飛び降りようかと思ったこともあるという。 「私の場合、資産家とも2代目社長とも違う。どんなときでも常に会社のことを気にしてしまう。心から休める瞬間はないです。そういう意味では自分の時間を切り売りしているともいえます。今年と同じくらいでいいと思ったとしても、現状維持をするためには相当頑張らないといけない。会社を成長させようと思ったら、今まで以上に頑張らないといけないんです。それは大変ですよ」 資産があるからといって自由に使えるお金がたくさんあるとも限らない。一方、財産は少なくても多額のお金を使える人もいる。ある意味では、実際に使っているお金が多い人ほど「富裕層」であるといえるのかもしれない。 世の中の経済活動は誰かがお金を使い、そして誰かが受け取る。その繰り返しで成り立っている。一方、お金の稼ぎ方、使い方も人それぞれだ。その一例をいくつかのパターンで見ていくことで日本社会の実像が見えてくるのではないだろうか。 --- 小川匡則(おがわ・まさのり) ジャーナリスト。1984年、東京都生まれ。講談社「週刊現代」記者。北海道大学農学部卒、同大学院農学院修了。政治、経済、社会問題などを中心に取材している。