新富裕層はどんな人? 事業、不動産投資、暗号資産など「令和の金持ち」が明かす実態 #令和に働く
格差が拡大する中、お金を持っている人とは
現在、国内の不動産は高騰の一途だ。国土交通省の発表する不動産価格指数によると、東京の住宅は2010年平均を100とすると、今年3月には160.2と14年で6割も上がっている。マンションに限ると全国でほぼ2倍だ。 国民の所得が総じて上がっているわけではない。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は26カ月連続でマイナスとむしろ下がっている。また、同省の国民生活基礎調査によると、所得金額階級別世帯数の中央値は405万円で、10年前の432万円から6%以上減少。100万~300万円が平均所得の世帯は10年前の26.4%から29.1%に増えた。 一方で、世帯収入1500万円以上の割合は2013年の2.8%から、3.1%へとわずかながら上がっている。また、個人の金融資産は2023年末で過去最高の約2141兆円。10年前の1644兆7310億円と比べると、30%も増加した。“お金持ち”は増え、格差は確実に広がっているのだ。 では、“お金持ち”はどこにいるのだろうか。 ただ、そのお金持ちの定義が難しい。
2023年公表の野村総合研究所の調査では、金融資産5億円以上保有している世帯を「超富裕層」と定義し、その数は約9万世帯いると推計している。全体の0.2%に満たない層が、日本全体の6.4%の金融資産を保有している。金融資産1億円以上5億円未満の「富裕層」も含めると、2.7%の層が22%の金融資産を占める。 では、具体的にどのような人がお金を持っているのか。 博報堂の調査によると、世帯年収1500万円以上を「インカムリッチ」と位置づけている。ただ、その割合はわずか2.4%だ。その約5割が会社員で、約3割は上場企業に勤めているという。 この定義であれば、共に年収750万円の夫婦であれば、合計でインカムリッチの世帯年収に該当することになる。都心ではそこまで珍しくはない世帯だが、それで「お金持ち」と呼べるような暮らしができているわけではないだろう。一方、収入1500万円を夫婦のダブルインカムではなく、各々で稼ぐには夫婦ともに相当給与水準の高い会社でなければならない。