ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者の三宅香帆と考える、新時代の女性の働き方とは
7. 働きながら本を読める社会へ
「これからの持続可能な働き方を実現するには、半身で働き、半身は自分のために使うこと。読書は、今の自分が全力で仕事にコミットしすぎていないかを判断するバロメーターかもしれません。個人として自分を優先した働き方を選択することが必要ですが、社会全体も意識を変えることが必要だと思います。 数年前に会社員として派遣サービスに関わっていて、女性の働き方について調べたことがありました。派遣という働き方は自由なようでいて、現在は不妊治療や持病、育児、介護のために選ぶ人がほとんど。『週5フルタイム残業あり』が必須条件の正社員体制に疑問を感じました。 長時間労働で全身全霊の働き方を求める“疲労社会”が問題になる中で、私たちは読書ができる働き方についてもっと考える必要があると思います。就活や転職においても、自己実現できる業務内容だけで選ぶのではなく、自分の生活に合うのかという視点も必要だと思います。働き始めてから、そもそも生活として自分に合っていなかったと感じることもありますよね。趣味と両立しやすい、子育てがしやすいなど、自分の領域を保てる働き方が当たり前の社会になってほしいと思います」 Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Mariko Kimbara