【毎日書評】じつはシンプルで簡単だった!ビジネス英会話力を伸ばす方法
『シンプル・丁寧・効果的なビジネス英会話のコツ96』(伊藤日加 著、あさ出版)の著者は、カナダで生まれ育った日系2世。1996年に来日してベルリッツ・ジャパンに入社し、英語教師を筆頭に本社商品開発マネージャーや企業向けのセミナー講師など多くの業務を担当。そののちビズメイツ株式会社を設立し、2万人以上のビジネスパーソンにビジネス英語を指導してきたという人物です。 注目すべきは、「『英会話』といえば、以前は旅行英会話や日常会話が主流であり、『ビジネス英語は難しく、外国企業と取引をする専門的な知識を持った人が使う英語』という認識があった」という指摘。しかし、いまやビジネスの世界では英語の理解力と表現力は不可欠になってきているため、本書を書いたというのです。 本書は、「実はやさしいビジネス英語」に取りかかるコツ、そして学習を続けるためのポイント、実際にネイティブ・スピーカーとのやり取りではどのようなことに注意し、発話していけばよいのかなどを、文化背景や日本人が陥りやすいところ、その克服のしかたなど、いろいろな角度から、6つの章(Chapter)に分けて学習できるように設計されています。(「本書の特長と学習の進め方」より) 具体的には、まずビジネス英会話について知っておきたいことを確認し、そののち「挨拶」「打ち合わせ・会議」「発表・提案」「職場でのコミュニケーション」「ビジネスメール・ビジネスチャット」と、さまざまな状況に合わせた用法が紹介されているのです。 きょうはChapter 1「グローバルで活躍するために知っておくべき7つのこと」のなかから、とくに基本的な考え方を抜き出してみたいと思います。
じつは、「ビジネス英会話」は日常会話より簡単でシンプル
著者は、「ビジネス英会話は、日常英会話よりもはるかに簡単で、圧倒的にシンプル」なのだと述べています。意外な気もしますが、なぜなのでしょうか? 会話の「正解」がないなか、細かい心の機微を伝え合う日常英会話とは違い、ビジネス英会話は、シーンやシチュエーションに応じた定型文で成り立っています。 シーンごとに必要不可欠な会話のフレーズが決まっているため、ある程度の表現パターンさえ覚えてしまえば、まったくの英会話初級者でもそのまま使えますし、単語を少し換えるだけで、ビジネス上の会話は問題なくできるようになります。(12~13ページより) たとえば日常英会話では、movies(映画)、food(食べ物)、friends(友だち)、shopping(買い物)、family(家族)といった馴染みのある単語がよく出てきます。 対してビジネス英会話で使われるのは、meeting(ミーティング、打ち合わせ)、agenda(アジェンダ、議題)、sales(売り上げ)、cost(コスト)、budget(予算)など。 日本語であれ英語であれ、「日常の会話」と「ビジネスの会話」では、テーマも使う単語もまったく違うわけです。そのため、「ビジネス英会話を学ぶために日常英会話から学んで基礎を固める」という発想は“意味のない遠回り”だということのようです。(12ページより)