ICO 2.0 ── 2025年にICOが新たに復活する理由
暗号資産(仮想通貨)の元々のキラーユースケースは、分散型の資本形成だった。2025年、ICO(新規コイン公開)は大きな復活を遂げるだろうが、今回はまったく異なる特徴を伴うと暗号資産投資会社Dialecticの創業者ライアン・ズラー(Ryan Zurrer)氏は語る。 ◇◇◇ 2025年はアメリカでの規制見直しや世界的に暗号資産への敵対的態度が緩和することで、2017年に「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)として初めて普及した分散型の資金調達に新たな時代が到来するだろう。 2010年代、暗号資産はビットコイン(BTC)やアルトコインの生産的なユースケースを確立できていなかった。だが、イーサリアムブロックチェーンのスマートコントラクトを使って、初期段階のチームは世界中の支援者から資金を調達することが可能になった。イーサリアムはグローバルな分散型コンピューターとして勢いを増し、DeFi(分散型金融)やNFT、そしてさまざまな暗号資産プロジェクトの登場を後押しした。 多くのプロジェクトがICOで資金を調達し、ベンチャーキャピタリストでは提供できない価値をプロジェクトや起業家にもたらすという新たなダイナミズムが生まれた。分散型の投資家グループによって、起業家は無償でプロジェクトを広めてくれる支援者やベータテスター、コード貢献者を得ることができた。また、流動性の期間が短いため、初期段階の投資家にとっては、リスクとリターンの優れたプロファイルが可能になった。 だが残念ながら、ICOは徐々に規制の網がかかり、正確に明文化されることのなかった規制に「準拠していない」と見なされるようになった。2020年までにICOはほぼ見られなくなり、ICOしたトークンの88%が発行価格を下回る価格で取引されるようになった。 だが、2025年は、いくつかの重要な要素が変化し、魅力的な投資機会が再び出現することが予想される。そしてそれは、かつてのICO=ICO 1.0とはまったく異なる特性を備えている。