ICO 2.0 ── 2025年にICOが新たに復活する理由
影響と予測
では、ICO 2.0は暗号資産コミュニティに何をもたらすのだろうか? 今回の新しい分散型資金調達の波は、2017年から2018年にかけてICO 1.0で集められた約200億ドル(約3兆1500億円、1ドル158円換算)をはるかに凌ぐ規模になるだろう。今後数年間で、DeFi、NFT、現実資産(RWA)をはじめとする多くの暗号資産プロジェクトは数千億ドル規模の資金を調達するだろう。 M&Aは、オンチェーン資本形成活動の重要な要素となるだろう。米決済企業ストライプ(Stripe)がステーブルコイン決済プラットフォームのブリッジ(Bridge)を買収したように、既存企業が暗号資産分野に本格参入し、失った地位を取り戻すために動くケースや、各レイヤー2が、生き残れるのはほんの一握りだと認識して手を組むケースが見られるだろう。いずれにせよ2025年は、数十億ドル規模のM&Aが予想される。 加えて、中規模のWeb2企業や伝統的企業が、トークンによるインセンティブを利用しやすくなったことを受けて、今、ビジネスモデルを再構築しようとしている。エネルギー、メディア、アート、携帯電話などの業界では、トークンインセンティブを本格的に検討し、バリューチェーンをオープンマーケットプレイスに転換し、顧客と安価な労働力を獲得しようとしている。 また、資本主義的な使命と慈善的な使命を融合させた再生ファイナンス(regenerative finance:ReFi)が、そのポジションを確立すると楽観的に考えている。そして、暗号資産がこれまで以上に、資本への合理的なリターンと社会的目標を結びつける新たなパラダイムをもたらす可能性に非常に興奮している。 さらに、ICOへの参加方法にも新しい方法が多く登場すると予測している。リミテッドパートナー(LP)への報酬として与える方法、オンチェーン活動に基づいた評判を活用する方法、あるいは特定の証明を利用する方法かもしれない。結果として、個人投資家と機関投資家やVCの間でより良いバランスが取れるようになるだろう。 最後に、暗号資産に関してはいつものことながら、絶え間ないイノベーションと新しいアイデアが引き続き生まれ、初期段階の資金調達の機会をさらに広げていくだろう。多くの刺激的な新しいチームは、AIが取引を行う際には暗号資産が適切であることを明確に認識しており、準備を進めている。AI エージェントは、債券と株式の要素を組み合わせた、トークンを活用した資金調達メカニズムによって自らを拡張させるだろう。 全体として、私は暗号資産コミュニティは、これまでの進化の過程で得た教訓を十分に理解していると楽観視している。2025年は資本配分のための数多くの新しい機会が生まれるだろう。その際、私は暗号資産にかかわるすべての人々に対し、デューデリジェンスの重要性を声高に強調し、この業界をオープンなアクセス、公平なローンチ、そしてトークン保有者に価値を還元する誠実なプロジェクトへと導くことに尽力したいと考えている。 公正なローンチは優れた前進の道であり、私たちは皆、より公平で透明性の高い資金調達を目指して取り組むべきだ。解決すべき問題はまだ多く、前に進むなかで大きな失敗もあるだろう。だが、分散型資本形成は暗号資産の本来のキラーアプリであり、進化に値する。 |翻訳:CoinDesk JAPAN編集部|編集:橋本祐樹|画像:Shutterstock|原文:Why 2025 Will See the Comeback of the ICO
CoinDesk Japan 編集部