「転職前提にキャリアを考える」時代だからこそ育てたい部下の“We感覚” 「部下を辞めさせない」と頑張るより大事なこととは?
そんなとき、リーダーは「自分の言い方が悪かったのだろうか……」「自分の言葉で、部下を不幸にしてしまったのかもしれない……」と悩むこともしばしばある。このような幾多の「業」を背負いながら、行動していくのがリーダーなのだ。 リーダーにとって大切なのは、部下を「辞めさせないこと」ではなく、「組織と個人のために行動すること」であり、言い換えれば「個人の幸福」と「組織の発展」の同時実現だ。 個人と組織のどちらかが犠牲になっている状態は、健全な状態とはいえない。
個人は自由意思に基づいて所属する組織を選ぶ。そしてスキルを磨いて組織に貢献し、その結果として承認されたり自己効力感を覚えたりして幸福を実感する。 一方の組織は、個々の社員に「職場」という舞台で役割を全うしてもらうことで、組織を組織たらしめている「共通の目的」に向かって発展することができる。 このように、リーダーは「個人の幸福」と「組織の発展」の同時実現を目指していくべきだ。離職率や平均勤続年数など数字が気になる時代だが、部下を「辞めさせないこと」を目的にしてはいけない。
目先ではどちらかに寄った判断をすることもあるだろうが、中長期的には同時実現をしてほしいと思う。 ■オンボーディングのゴールは「一体化」 個人のキャリアという視点で考えれば、若手社員が会社を辞めるのは決して悪いことではない。 しかし、若手社員が定着して生き生きと働き続け、会社も発展し続けているのは、会社と個人の両者にとってうれしい状態であるはずだ。そのためには、「一体化」をゴールにしてオンボーディングを行うことが重要である。
前述のとおり、「We感覚」を醸成するには時間がかかる。また、1~3年目、3~5年目など、社歴によってもオンボーディングに必要な要素は変わってくる。 次回以降は、社歴別にオンボーディングのポイントをお伝えしていきたい。
小栗 隆志 :リンクアンドモチベーション フェロー