「転職前提にキャリアを考える」時代だからこそ育てたい部下の“We感覚” 「部下を辞めさせない」と頑張るより大事なこととは?
昔から、「石の上にも三年」「置かれた場所で咲きなさい」という言葉がよく使われてきた。両方とも、企業にとっては使い勝手のいい言葉だろう。ただ、今の若手社員はどう受け止めるだろうか。 近年、採用・転職関連の新サービスが続々と登場し、企業と応募者、双方の選択肢が広がっている。選択肢が増えるのは良いことのように思えるが、問題もある。選ばれる個人と、選ばれない個人の「二極化」が進んでいくのだ。 選ばれる個人は引く手あまたとなる一方で、選ばれない個人はとことん選ばれない。また、一旦選ばれても、入社後はすぐに社内での競争がスタートする。
「終身雇用」はもはや古めかしい言葉となり、社会人人生を最後まで保証してくれる会社はほとんど見当たらない。保証がない中で、「選ばれ続けること」に真剣に向き合っているのが昨今の若手社員なのである。 こうした状況下では、会社を辞める可能性を前提に置きながら、自身のキャリアを考えるのも当然のことである。若手社員が会社を辞めるのは、彼ら自身のキャリアを守るための選択でもあるのだ。 このような若手社員にとって、「石の上にも三年」「置かれた場所で咲きなさい」といった会社都合に聞こえる言葉はむなしく響くだけだろう。
■育てていきたい「We感覚」 昨今の若手社員が置かれている状況がご理解いただけただろうか。このような背景から、冒頭で例を出した若手社員のように、「このままこの会社で働き続けて、自分のキャリアは大丈夫だろうか……」と懸念を抱きながら働いている人は少なくない。 いわば、会社を「品定め」している状態だが、この状態でいる限り、ちょっとしたきっかけで離職に至る可能性が高い。 しかし、一定期間を過ぎると品定めのフェーズは終わり、「この会社で働いている自分が当たり前」と感じられるようになる。これは、会社が「自分の人生の一部」として位置づけられた瞬間だといえよう。