意思に反して身体が動き、声が出る<トゥレット症>と小3で診断された男性「見当違いな診断を受けたまま大人になった人も。発見が遅れがちな理由は…」
◆「自分は病気だ」と知って、ホッとした 小学校4年生のとき、先生から「君はチック症という病気だよ」と伝えられ、自分がどういう状況にあるのかがようやく理解できるようになりました。 病名を聞いたとき、少しホッとしたのを覚えています。 僕がよく転ぶこと、大きな声を出すのを抑えられないことは、名前のある病気だった。 このよくわからない状況には、ちゃんとした理由があって、それはチックという病気のせいなんだ、と根本から理解できたからです。 また、本当の診断名を告知された際、先生から言われた「この病気は子どものころに発症しても、大人になったら良くなる可能性がある」との言葉も、僕にとっては大きな希望でした。 ちなみに、この言葉は、その後も人生において、ひとつのお守りであり続けました。 15歳くらいになったときも「あと4~5年もすれば20歳になって大人になるから、きっと良くなるはずだ」と信じていました。 残念ながら、すでに20歳を超えても症状は治まっていませんが、いまでも「40歳くらいになったら治まっているかも」という希望を持っています。 この病気の仕組みは詳しくわかっていないのですが、ドーパミンという脳内物質の分泌(ぶんぴつ)量やそれらを受け取る器官などに原因があると言われていて、特効薬や治療法はありません。 しかし、一定の年齢になると、それに合わせて自然と身体の機能が衰(おとろ)え、そうした脳内物質の分泌量が減り、刺激を受け取る器官の感度も落ちるそうで、症状が治まる人が多いのだそうです。 あと10年、15年したら、もしかしたら僕の症状も治まっているかもしれない。 そんな期待を胸に、僕はいまも毎日を過ごしています。 ※本稿は、『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
酒井隆成
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