意思に反して身体が動き、声が出る<トゥレット症>と小3で診断された男性「見当違いな診断を受けたまま大人になった人も。発見が遅れがちな理由は…」
◆同級生に言われた「ショーガイかよ」の一言 小学校3年生で、「チック症」との診断を受けた僕ですが、正式な病名を先生から知らされていたのは両親だけです。 それというのも、小さい子どものチックは一過性の場合がほとんどで、放っておいても寛解(かんかい)することが多く、子どもには教えないで見守るのが一般的だからです。 逆に本人にチック症について伝えてしまうと、日常生活を送る際に妙に意識してしまい、余計に症状が悪化するケースもあります。 そのため、僕の場合も最初は様子を見るにとどめられていたようで、最初の診断のときに僕が先生から聞かされていたのは「心の病気」という説明のみでした。 退院後、学校で仲の良い友達には自分の事情を説明しておこうと思い、何の気なしに「実は僕がよく転んだり、じっとしていられなかったりした理由は“心の病気”だったんだって」と伝えてみました。 すると、それを聞いた友達は笑いながらこう言いました。 「なんだ、ショーガイかよ」
◆はじめて病気をバカにされた経験 まだ小学校3年生なので、友達が「ショーガイ」という言葉の意味をわかって発言していたわけではない、とは思います。 でも、仲が良いと思っていた子に、自分の病気のことを笑われ、バカにされてしまった。 さらに、友達は僕に「ショーガイ」というあだ名をつけて、周囲の子どもたちとはやし立てました。 そんな友達の様子を見た瞬間、喉に小石をいっぱいに詰められたような息苦しさを感じ、ショックのあまり、何日か学校に行けなくなってしまいました。 数日後からは普通に登校し、その友達とも以前と同じように普通に接するようにはなったのですが、はじめて病気をバカにされたこの経験を思い出すと、胸がきゅっと締(し)め付けられます。 その後、僕のチックは寛解するどころか、次第にひどくなっていき、「転ぶチック」に加えて、突然声を上げてしまう音声チックの症状も出てくるようにもなりました。 小学校も4年生になったとき、セカンドオピニオンを受けるため東京大学医学部附属病院にある「こころの発達診療部」へと連れて行かれ、そこで正式に「チック症である」と告げられたのでした。
【関連記事】
- 「ンン!」「ア!」意思に反して身体が動き、声が出る<トゥレット症>。とにかく体力を消耗、ときに骨折も…当事者が語る日常生活での「負担」
- 「自分はダメ人間と思ってきた」特別支援教育専門家が発達障害の子どもと向き合って気づいたまさかの事実。「行動が自分とそっくりで…」
- 和田秀樹「うつ病・躁うつ病と診断された人は24年前より4倍近く増加!パワハラは減ったのになぜメンタルを病む人が増えているかというと…」
- グレーゾーンの子を前に大人は「発達が遅れているだけ」「追いつくのでは」と考えがちだけど…特別支援教育専門家「初期対応は<反対>に考えてみて」
- <休む>がわからない「多動」の子どもにどう接する?特別支援教育専門家「不登校の子どもには、疲労が大きすぎるために登校拒否するケースも…」