【プロ野球監督通信簿(パ・リーグ編)】2位躍進の新庄監督、途中解任された今江監督の評価は?
【3位】評価:B+ 楽天・今江敏晃前監督 (※リーグ4位、67勝72敗4分、勝率.482) 昨オフに2年契約で就任した今江前監督が、契約途中で電撃解任されたことに驚いたファンは多かっただろう。CS争いで最後に失速して4位だったが、戦いぶりを評価する声は多かった。戦前の下馬評は低かったチームを率いて、交流戦で球団史上初の優勝を飾り、20代の選手たちを次々に台頭させた。早川隆久、藤井聖が球団史上初の左腕で2ケタ勝利をマークし、辰己涼介は最多安打を獲得した。小郷裕哉も12球団で唯一のフルイニング出場で32盗塁をマーク。先発から抑えに配置転換された則本晃大が最多セーブのタイトルを受賞したことも、今江前監督の大きな功績だろう。ベンチ入りのメンバーを起用せず有効に活用しきれていない点はマイナスポイントだが、十分に及第点をつけられる。球団内部の評価はうかがい知れないが、解任される采配だったように思えない。来年は三木肇新監督が5年ぶりに再登板する。監督交代の決断が吉と出るか。 【4位】評価:B ロッテ・吉井理人監督 (※リーグ3位、71勝66敗6分、勝率.518) 突出した選手が多いとは言えない中、3位で2年連続Aクラスという結果は評価できる。「強打の捕手」として佐藤都志也が一本立ちし、ソトが復活。投手陣は、リリーバーの鈴木昭汰が51試合登板で27ホールド、防御率0.73と抜群の安定感を見せた。一方で、安田尚憲、松川虎生などチームを背負う素材の出場機会が少ないのが気になる。結果論になるが、継投策も裏目に出るケースが目立った。故障が多い佐々木朗希を大事に育てているが、シーズンを通じて稼働してもらわなければ頂点に行けない。先発を担う若手投手の育成も重要なポイントだ。
【5位】評価:B オリックス・中嶋聡前監督 (※リーグ5位、63勝77敗3分、勝率.450) 吉井監督と同じ「B」評価だが、リーグ順位を考慮して5位に。リーグ4連覇を目指したが、勝ち続けることは難しい。最後までチームに火がつかなかった。山本由伸、山崎福也が抜けた投手陣をやりくりし、リーグ2位の防御率2.82と奮闘したが、打線がふるわない。402得点はリーグ5位で、監督としても頭を悩ませただろう。選手の状態や相手との相性を見極めて打線を組み替えてきたが、今年は「笛吹けども踊らず」。主力選手が全力疾走を怠るなど、結果以前にチームの士気が落ちているように感じた。選手との距離が近いことで知られたが、今季は緊張感がナインに浸透していなかったか。これまで監督として積み上げた実績を考えると、今年限りで辞任を決断することは予想外だった。今年の低迷を選手たちがどう受け止めるか。 【6位】評価:C 西武・松井稼頭央前監督 (※リーグ6位、49勝91敗3分、勝率.350) 就任1年目の昨季5位に終わり、巻き返しを誓った今季だったが、春先から7連敗、8連敗と苦しみ、借金15を背負った交流戦前に休養することになった。渡辺久信GMが監督代行を務めたが、球団ワーストの91敗で最下位に沈んだ。森友哉(オリックス)、山川穂高(ソフトバンク)ら主力選手がFAで次々に同一リーグの他球団へ移籍し、満足のいく補強ができなかったことは同情の余地がある。戦力的に厳しい状況だったが、レギュラーをつかむ若手を育てられなかった現実は受け止めなければいけない。機動力を重視する野球を提唱したが、走塁の精度が上がったとも言えない。目指す野球の方向性が最後まで見えてこなかった。 (今川秀悟)
今川秀悟