トランプ2期目で日本に迫る追加関税と防衛費の増額要求:森教授に聞く
日米二国間より難しそうな世界情勢への対応
竹中 最後に今後の日米関係の見通しだが、米中関係との見合いで考えると、関税問題などでもめることはあっても全体的には結局、安定基調で進みそうだと考えるか。 森 追加関税の賦課や防衛予算増の要求が現実化するか、どう現実化するかは、まだ分からない。もし実際にこのような要求を突きつけられたら、実務的な対応は大変だろうが、政治的に対応することは不可能ではないと考える。警戒は必要で、今後の展開を注視しなければならないが、今のところ慎重に楽観している。むしろ日米の二国間の問題よりも、台湾をめぐる問題や朝鮮半島情勢、ウクライナや中東などで起こるであろう事態や変化に、日本がどう対応していくかという問題の方が難しくなるのではないか。危機が発生した時にトランプ氏が適切な判断を下せるのかという懸念もある。新型コロナへのトランプ氏の対応ぶりを思い起こすと、やはり不安は小さくない。 (編集部注:インタビューは2024年11月29日、東京都内で行った)
【Profile】
森 聡 慶応義塾大学法学部教授。専門は国際政治学、現代米国外交。1972年生まれ。京都大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。外務省職員、法政大学法学部教授などを経て2022年から現職。著書に「ヴェトナム戦争と同盟外交」(東京大学出版会、2009年)。 竹中 治堅 nippon.com 編集企画委員長。1971年東京都生まれ。1993年東大法卒、大蔵省(現財務省)入省。1998年スタンフォード大政治学部博士課程修了。1999年政策研究大学院大助教授、2007年准教授を経て現在、教授。主な著書に『参議院とは何か 1947~2010』(中央公論新社/2010年/大佛次郎論壇賞受賞)など。