「避難所使っていい?」オンライン通訳の年末年始 被災地に安心感を 外国人と日本を橋渡し
「すぐに逃げてください!」
年間の通訳件数は約14万件。特に年末年始には月800~1000件ほど増える傾向があります。 クリスマスのギフト需要で小売店からの通訳依頼も増えるほか、観光客数も増える時期。あわせて増えるのが事故だといいます。レンタカーで温泉に向かっている途中で大雪で動けなくなった外国人からの「どこにいるか分からない」といった、差し迫ったSOSなどにも対応します。 来日19年目の高さんも、留学生として来日した直後は日本語が「まったく分からない状態」だったと言います。だからこそ、現場で言葉が分からない状態で不安な思いを抱えている人たちの思いが分かります。 2024年は元日から、緊急の対応が発生しました。午後4時過ぎ、都内で家族とご飯を食べている最中に、揺れを感じました。 テレビではアナウンサーが「テレビを見ていないですぐに逃げてください!」と連呼しています。能登半島地震でした。 「震度5以上で、無料の多言語通訳センターを立ち上げる」。社内の決まりに従い、高さんは即座に人員配置を考え、専用の番号を開設し、その日のうちに被災した自治体に知らせました。 能登には外国からの観光客も多くいます。「まずは『多言語での対応が来ても大丈夫、無料でお手伝いします』という安心感を被災地に与えるのが目的でした」と高さん。 災害時に通訳をする場面としては例えば、 避難所に来た外国人への対応だといいます。過去には外国人のこんな質問を通訳しました。「ここ(避難所)は私も使って良い場所なのでしょうか」 訪日客のなかにはこれまで地震を経験したことがなかったり、「避難所」という文化がない国から来たりした人が大勢います。日本の避難所はもちろん外国人でも使えますが、それは「避難所」という文化があるから分かること。 「外国人は、どこかで疎外感を抱いています。どこを使っていいのか、水をもらっていいのか、さっぱり分からないのです」。そう話す高さんにも、2011年、東日本大震災で被災した経験がありました。