高止まりするガソリン価格の約半分が税金? 25.1円/L安くなるトリガー条項とは?
ガソリン税の二重課税とは?
さらに、ガソリン価格には、これらの税に加え、「消費税」もかかっています。しかも、ガソリンの場合、消費税は、本体価格にガソリン税や石油石炭税も含めた合計額に課税。そして、この課税方式が「ガソリン税に消費税を課す二重課税」だと指摘する意見もあります。 たとえば、ガソリン価格(本体価格+ガソリン税+石油石炭税)が150円/Lだとしても、実際にユーザーが支払う金額は、消費税込みで165円/Lとなります。 このうち、特例税率下のガソリン税と環境税が上乗せされた石油石炭税を合わせた税額が56.6円/L、消費税が15円/Lなので、全ての税額は71.1円/Lとなる計算。ガソリン小売り価格165円/Lのうち、43%以上を税金が占めることになっているのです。 よく「ガソリン価格の約半分が税金だ」といわれるのは、このためですね。
税金を引き下げるトリガー条項
そして、今話題のトリガー条項。これは、2010年度の税制改正で導入された制度で、レギュラーガソリンの全国平均価格が「3か月連続で160円/L」を超えた場合に、先に紹介した「暫定税率分の25.1円/Lを課税しない」というものです。 国民生活に大きな影響があるガソリン価格が一定基準以上になった場合に、拳銃などのトリガー(引き金)を引く、つまり「税金を引き下げる」ことで、価格の安定を図ることを目的に制定されました。 資源エネルギー庁のデータによれば、レギュラーガソリンの全国平均価格は、2021年10月4日時点で160円/Lになって以来、ずっと160円/L以上をキープしています。しかも、2023年9月4日時点には186.5円/Lの最高値を記録。その後は多少下落しましたが、それでも2024年はずっと170円/L半ばで高止まりしています。
そのため、本来であれば、とうの昔にトリガー条項は発動されているはずです。資源エネルギー庁が発表した、当記事作成時の最新データ(2024年11月11日時点)では、レギュラーガソリンの全国平均価格は「174.7円/L」ですが、もし発動されていれば、25.1円/L安い「149.6円/L」となっていたはずなのです。 ところが、今のところ、このトリガー条項は凍結された状態となっています。理由は、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するため。そのため、レギュラーガソリンの全国平均価格が170円台や180円台となっても、依然として「税金額はそのまま」の状態が続いているのです。