元町駅から1万500歩。港町・神戸の絶景と山道の新緑を楽しむ
頭上に布引ハーブ園のロープウェイが見え、乗客と笑顔で手を振り合った。山の中に新神戸駅のアナウンスが聞こえ、木々の合間から駅に発着する新幹線の車両を見下ろすことができた。さらに歩くと布引の滝へ通じるハイキング道へ出た。 「日本の滝百選」に選ばれている布引の滝は四つの滝の総称で、今回は最上流にあり最も大きな雄滝(おんたき)を目指す。レンガ造りの三連アーチが印象的な布引水路橋(砂子橋)を渡り、生田川の渓谷沿いを歩く。上り坂が続くが、清流や新緑に癒やされる。やがて高さ43メートルの迫力ある雄滝が見えた。滝つぼに近づくと水しぶきが気持ちいい。 ここから急坂を上がるとおんたき茶屋だ。庶民的な雰囲気ながら1914年創業の歴史を誇り、作家の司馬遼太郎ら著名人も訪れたとか。「新神戸駅から徒歩15分の所にこんな自然豊かな場所があると皆さん驚かれますよ」と4代目店主の山口公子さん。目の前の雄滝を見ながら夏季限定の冷やし山菜とろろ蕎そ麦ば(880円)を味わった。 腹ごしらえを終えると、みはらし展望台で港町を見渡し、最終目的地の竹中大工道具館へ。日本が誇る木造建築を支えてきた職人の技と精神を学び、三ノ宮駅へ向かった。神戸の高台を西から東へ歩いた旅は、港町の絶景だけでなく、自然や歴史の魅力にもあふれていた。 文/児島奈美 写真/宮川 透