「脳性まひで重度障害」東京パラリンピックの障害者リポーター千葉絵里菜(29)「私がまさか結婚ができるとは」
── プロポーズはどちらから? 千葉さん:復縁する際に私から「結婚しなくていい、子どもも望まない、あなたとただ一緒にいたい」と言っていたんです。でも、あるときふと「このままパートナーでいるのは寂しいな。やっぱり結婚したいな」と思って、そのことを伝えると彼も前向きな様子でした。 その後、ふたりで旅行へ行ったんです。私としては結婚話が出た後だから、旅行期間中にプロポーズされるかもしれない、という期待がありました。普段は使わない高級ブランドの化粧品をつけてプロポーズされる準備は万端だったのに、結局、旅行中は特に何もなく(笑)。しかも、慣れない化粧品を使ったせいか肌が荒れてしまって、帰宅後には病院へ行くことになりました。もう悲しくてやりきれない気持ちでいたら彼が「なんでそんなに機嫌悪いの?」と聞いてきて、思わず「プロポーズしてくれると思ってた」と言ってしまったんです。そしたら彼は、旅行中に寄ったオルゴールショップで指輪が入るサイズのオルゴールを買ってくれていて、「本当は誕生日に指輪を入れて渡すつもりだったんだよね」と言って渡してくれました。結局2021年、私の誕生日に入籍しました。
脳性まひで重度障害があるので、結婚できるかは不安でした。人生って奇跡の連続だなと思います。 PROFILE 千葉絵里菜さん ちば・えりな。1994年、北海道帯広市生まれ。1歳で難病指定の胆道閉鎖症の手術をし、2歳で脳性まひが発覚。以降、重度身体障害者として車椅子生活を送っている。2017年~2021年、東京パラリンピックのNHK障害者キャスター・リポーターとして活躍。2022年に結婚し、2023年には長女を出産。家族や重度訪問介護ヘルパーに支えられながら育児をしている様子をSNSで発信し続けている。 取材・文/富田夏子 画像提供/千葉絵里菜
富田夏子