<相棒は双眼鏡>ドウデュース不在の有馬記念、本命はダノンデサイル=井内利彰さん
22日に開催される有馬記念の入場券は抽選申し込みなどによるインターネット購入で、発売枚数は5万枚。指定席に関しては、通常時よりも当選確率が低く、プラチナチケットとなっている。今年のJRAレースにおいて、一番の盛り上がりを見せる日といっても過言ではないだろう。 その人気の中心にいたのが、ファン投票1位での出走となるドウデュースだった。このレースを最後に現役引退が発表されており、レース後には引退式が行われる予定となっていた。 しかし20日午後、ドウデュース出走取り消しの一報が飛び込んできた。友道康夫調教師は「ファンに申し訳ない」というコメントを出したが、松島正昭オーナーと協議しての苦渋の決断。大事に至らず、種牡馬入りできることをポジティブにとらえたい。日本ダービーはもちろん、今秋の天皇賞、ジャパンカップで感動的なレースを見せてくれた。ドウデュースと陣営には「ありがとう、お疲れ様でした」と感謝の言葉を伝えたい。 さあ、仕切り直しで15頭の戦い。今年の菊花賞直後に「もしドウデュースが有馬記念へ出走しないなら、この馬に本命を打とう」と決めていたのがダノンデサイルだ。菊花賞では致命的な不利を受け、4コーナーでほぼ最後方まで下がってしまったが、最後の直線だけで6着まで追い上げた。 レース後は馬の状態を見て、有馬記念を目標に調整。前走の疲れもなく、追い切りでしっかりと負荷をかけて万全の態勢が整った。これまでの3勝はすべて先行抜け出し。1番枠ならやりたい競馬ができるはずだ。 それに次ぐ評価をしたいのが、ベラジオオペラ。天皇賞・秋では夏場の暑さが影響して、思うように体調が上がってこなかった。それがこの季節になって状態が一変。調教でも素晴らしい動きを見せている。海外遠征帰りになるが、追い切りの動きは文句なしのプログノーシスと、有馬記念が引退レースでも生涯最高のデキにあるスタニングローズにも期待したい。(競馬ライター) ◇いうち・としあき 1976年生まれ。東大阪市出身。高校の同級生の影響で競馬に興味を持った。92年の菊花賞(GⅠ)を自身と同じように小柄なライスシャワーが制し、その魅力に取りつかれた。大阪経大卒業後、競馬予想サイトの運営会社勤務を経て、フリーライターに。