サントリー初の男性向けスキンケアブランドが中高年に大ヒット、“リモート時代”で見た目気にするシニア世代が急増
2年前に、サントリーウエルネス初の男性向けスキンケアブランドとして発足した「VARON」。1本でお手入れが完結するオールインワン商品がスキンケア初心者のミドル・シニア世代に受け、2年で累計売上40億円突破と、当初の目標を大幅に上回る好調を見せている。メンズスキンケア需要が増加傾向にある中、市場を牽引するブランドとなり得るのか。後発ブランドながら、独自シェアを獲得しつつあるVARONに、その戦略と反響を聞いた。 【画像】10日間で変わる? 男性向けスキンケアブランド「VARON」ラインナップ
■既存ブランドは若者向けが多数、ミドル・シニア層狙い&サントリー独自技術で差別化
人々のウエルネスライフ実現のために、健康食品や化粧品を通販で提供してきたサントリーウエルネス。同社は2020年より、顧客理解を深めるため、シニアの顧客を対象に、オンラインでヒアリング調査を実施。本調査がVARON開発のきっかけとなった。 「誰しも、人や社会とのつながりを持って若々しく生きたいという気持ちがありますが、年齢を伴う外見や印象の変化によって自信がなくなり、人や社会とのつながりがなくなってくる…そんな潜在的な悩みが多いなと、調査を通して感じました。そういう方々に向けた商品を作れないかと思い、VARONを開発するに至りました」(サントリーウエルネス スキンケア事業部・西山雅大さん/以下同) ちょうどコロナの影響もあり、「リモート会議の画面上で若い社員と並んで、見た目の差を感じた」というビジネスマンや、孫とLINEで通話する際に身なりを気にする高齢者など、自らのビジュアルを気にするミドル・シニア層が増加傾向にあった。そんな背景があり、男性向けのスキンケアブランドに着手したのだ。 しかし、男性向けスキンケア市場には、既に1978年発足の「ギャツビー」や1992年発足の「ウーノ」など、根強いブランドが君臨している。その上、昨今の男性の美意識向上を受け、多数ブランドが参入し、競争は熾烈を極めている。そこでサントリーウエルネスは、現状、若者向けに発信しているブランドが多いことから、得意とするミドル・シニア層にターゲットを定めた。 まず開発したのは、『オールインワンセラム』。独自技術である業界初の「WOW高浸透型エマルジョン技術」(特許取得済)の採用により、3ステップ浸透を実現した。これにより、化粧水+美容液+乳液・クリームの役割を1本で完結することができる。 「VARONは“これまでスキンケアをやってこなかった未経験者の方”にも使っていただきたく、手軽に使えないと、面倒くさくてやめてしまわれる方が多いだろうと予測できましたので、1本で手軽に使えて、体感の良い商品を作りたいと考えました」 一般に、オールインワンのスキンケア商品はジェル状のものが多いが、ジェル状は水分が多いため、「蒸発してしまう」という声が多かった。VARONはジェルではなくクリーム状になっていて、「良い成分が浸透した後に、しっかりフタをする役目も担っているのが非常に大きなポイント」だという。 「クリーム状のものを量産化、商品化するのは難しく、試行錯誤を繰り返しましたが、浸透した成分が心地良く残り、朝塗ったら夕方まで乾燥しません。そこが一番大きな体感のポイントだと思います」 さらに、サントリーグループならではの「ウイスキー樽材エキス」や「ウーロン茶エキス」といった独自の成分を配合しているのも大きな特徴だ。 「実は、ウイスキー樽材エキスは20年ほど前から研究を進め、2010年代前半にできた成分で、『WOW高浸透型エマルジョン技術』も2010年代前半には開発されていました。しかし、なかなか生かしきれておらず、長らく技術が宙に浮いた状態だったのですが、今回初めてこれらの技術を組み合わせた商品化に成功しました」 40~70代と幅広い層に使ってもらおうと、パッケージは、明るめのシルバーで高級感を出しつつ、ハットのイラスト、アーチ形のロゴを入れ、親しみを持たせたデザインに。嗜好性も年代によって異なることから、「オリジナル」「フレッシュ」「クラシック」の3種類の香りを揃えた。男性用スキンケア商品といえば、“スースー”したメンソール系が多い印象だが、同一商品でこれほど種類が選べるラインナップは珍しい。