混乱を招くコリジョンルールの問題点
コリジョンルールへの適用を巡って混乱が生じている。 7日、甲子園球場で行われた阪神ーヤクルト戦で5-5の同点で迎えた7回一死満塁に本塁上でのクロスプレーがあった。ヤクルトの中村がセカンドゴロ。打球がイレギュラーしたことも手伝って大和はジャッグルしてバックホームがワンテンポ遅れた。まっすぐに足から滑り込んできた雄平と本塁はクロスプレーだったが、結果はセーフ。金本監督は抗議に飛び出してビデオ判定を求めたが、「フォースプレーでは採用できない」との理由で拒否され、抗議は認められなかった。 確かにフォースプレーの場合、タッチプレーではないため、捕手は本塁ブロックをしない。フォースプレーには、コリジョンルールは適用しないという考え方があるのかもしれないが、走者の側に落球を誘うためのタックルを仕掛ける危険性は残っているし、元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏は、「本塁併殺を崩すために、捕球後、一塁送球を行う捕手の足元をスライディングで狙うプレーはある」という。 大きな枠で考えれば、フォースプレーであろうと本塁上のクロスプレーは、コリジョンルールの採用範囲であり、アグリーメントにも「フォースプレーは除く」などとは書かれていない。 またビデオ判定に関しては「本塁上でのクロスプレー、主に本塁での衝突プレーに疑義が生じた場合、当該試合の責任審判が必要とした場合にリプレー映像を使用する」とある。 ビデオ判定を採用するかどうかは審判の判断だが、そこにはコリジョンルールだけではなく、「クロスプレーに関しても疑義が生じた場合はリプレー映像を使用できる」と書かれているのだから、この日の微妙なタイミングと、金本監督の猛抗議を考えると、ビデオ判定を行ってもよかっただろう。 それを「フォースプレーでは採用できない」と、どこにも明文化されていないものを理由に蹴った審判団の判断には、問題はなかったのだろうか。審判団の中で「フォースプレーでは捕手ブロックはないのだから、ビデオ判定は採用しない」というガイドラインでもあるのだろうか。 この日は、QVCマリンのロッテ対オリックス戦でも、ビデオ判定で一度下された判定が覆る事件が起きた。7回一死満塁で、オリックスの吉田一が、打者・中村に投じた外のボールがワイルドピッチとなり、ボールがフェンスに転々とする間に三塁走者の角中がホームを狙い、吉田一が本塁をカバー。右手を伸ばしてヘッドスライディングを仕掛けたきた角中と、フェアゾーンで待ち走者に覆いかぶさるようにタッチした吉田一のクロスプレーの判定はアウトとなったが、伊東監督が抗議。ビデオ判定の結果、判定がセーフに覆った。