混乱を招くコリジョンルールの問題点
6日の西武ー日ハム戦でも、6回1死満塁から西武、高橋光成のワイルドピッチで、三塁走者に続き、二塁走者の浅間までが本塁に頭から突っこんできて、ベースカバーした高橋光成とクロスプレーに。判定は、一度は「アウト」とされたが、ビデオ判定の結果、高橋光成が走路をふさいでいたと「捕手及び野手のブロック行為禁止」のコリジョンルールが適用され、セーフに判定が覆った。 確かにアグリーメントには、「捕手及び野手」と書かれ、捕手以外のブロックについても明文化されているが、防具もつけていない投手のカバーをブロックとみなすのか? という議論もないままのルール適用に西武の首脳陣も戸惑いを隠せなかった。 元千葉ロッテの里崎智也氏は、「当該の責任審判が説明責任を果たしていない」と指摘する。 「今日のロッテ対オリックス戦のビデオ判定後には、審判が《セーフ》ですと場内マイクで語っただけで、コリジョンルールの何をどう採用したのか、それとも映像を見ると走者の手が先についていたからセーフとしたのか、理由が一切わからなかった。審判が口べた過ぎるというか、ほとんどの球場でビデオ判定後に細かい説明をしていない。 捕手以外の投手のカバーにも、コリジョンルールが採用されるなんて私でさえ知らなかった。コリジョンルール採用の初年度なのだから、ビデオ判定に持ち込まれた場合は、どのルールをどう適応してそうなったかを丁寧に場内アナウンスを使って説明するべきだろう。試合時間の短縮以上にファンサービスという点では必要なことだと思う」 実際、判定が翻った1点が響いて逆転サヨナラ負けをすることになったオリックスの福良監督は、試合後、審判団の元を訪れ、「昨日の西武の高橋光成のように吉田のタッチプレーを走路妨害と判断して、コリジョンルールを適応したのか、それともクロスプレーの結果セーフだったのか」と、理由を確認している。審判団は、コリジョンルールの適応でなく、クロスプレーのリプレー映像を見ると、角中の手が先に入っていたことを理由として挙げたというが、試合が終わるまで、当該の監督でさえ理由がわからなかったのは、審判団の不親切というより、むしろ不手際ではないだろうか。 コリジョンルールの適用を巡ってのレアケースが起こるたびに、両軍の首脳陣も混乱するのだから、両軍へしたような同じ説明を、丁寧に場内のファンにも伝えるべきだろう。そうでなければ、ファンも含め、現場で何が起きたのか混乱するケースがまた生じるかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)