偏差値40から60まで“乱高下”した中学受験の結末
塾の面談の際にも、成績の乱高下について何度か担当講師に相談をした。しかし、帰ってくる言葉はいつも「大丈夫です!」というものだった。 塾から聞いたこの言葉を信じ、志望校選びを始めていく。第1志望として考えたのは、青山学院横浜英和中学校。ここは創立140周年以上の横浜の伝統校、横浜英和女学院中学が前身の学校だ。2014年には青山学院大学の系属校となり、2016年には名称を現在の青山学院横浜英和へと変え、2018年には男女共学化に踏み切り、大きな変化を迎えていた。教育内容もさることながら、母親は給食があるのも気に入った。
「ほんとにこんなことで決めるのかという感じなんですが、学校の様子もよかったし、お弁当を作らなくていいのは共働きのうちにとっては助かるなと思いました」 こころちゃんもこの学校を気に入ったため、塾の面談時に志望校にしたいと伝えると、担当者は「こころちゃんの成績なら、なんの問題もなく合格できますよ」と太鼓判を押された。当時の青山学院横浜英和の偏差値は50台後半。好調時の60台前半の偏差値で見れば、確かに安全な学校に見える。
志望校は決まったものの、5年生の1月、こころちゃんは急に「塾に行きたくない」と言い始めた。理由を聞くと、「勉強が難しくてわからない」と言う。 母親の話を聞くに、実は5年生の夏あたりから自信を失っていたようだ。模試の成績が悪かった単元は学びの定着ができていなかった。塾で教えてもらったときには解けるのだが、テストでは解けないという状況が続く。基礎の定着ができていないため、発展問題が出るとさらに解けない。だが、1クラス20人の集団の中で「わかりません」と手を挙げて聞くことは難しかった。
「うちの子は塾全体でみるとおそらく成績は中間層だったと思うんです。悪くも良くもない生徒。問題児でもない、手のかからない子だったから、それほど気にかけてもらえなかったのかもしれません」 わからない所がある場合は授業後に質問の列に並んで自分から聞いていくようにしなければ、わからないまま終わってしまう。 「先生に質問するのもうまくできず、塾に行っても勉強がわからないから行きたくないと……」 ■転塾をきっかけにやる気が戻る