偏差値40から60まで“乱高下”した中学受験の結末
成績が安定してきたとはいえ、青山学院横浜英和は安全とは言い切れない。それでも1日午後はこころちゃんの偏差値と比べると10ポイント以上も下の安全校の受験を組み入れたため、合格がもらえると踏んでいた。 2月1日の受験を終えた後、母子はちょっとした安心感に包まれていた。 「今日はよく頑張ったから、帰りに温泉に入って帰ろうか」(母親) 「うん! それ嬉しい! そうしよう」(こころちゃん) 合格発表までは時間があるため、これまでの頑張りをねぎらい、明日からの英気を養うために親子は近くの温泉施設でのんびり過ごして帰宅した。
そしてその日の夜に迎えた、合格発表。青山学院横浜英和はやはり厳しく不合格。ある程度予想はしていたためそれほど焦りも感じなかったという。続いて迎えた午後入試、安全校の合格発表。発表時刻の午後10時、気楽な気持ちでサイトを開いた。ところが、表示されたのは「補欠合格」という文字だった。 「えっ?」 こころちゃんも思わず口を覆ってしまった。模試でも常に合格率80%をキープしていた学校だった。だからこそ、安全校として入れたのだ。驚きを隠せない娘を前に、母親は冷静を装った。
塾の先生にすぐに結果を連絡。相談の結果、2日目午前でもう一度この学校を受験することに決め、急いでネット出願した。 こうして迎えた2日目だったが、なんと2日目入試でも午前、午後ともに不合格。初日に安全校で合格をもらう予定が2日目に入っても1つも合格がもらえていない。 「最悪のシナリオになってしまいましたね……」 塾の先生の言葉がずしんと重い。塾からは再三「最悪のシナリオの場合を考えておいてください」と聞かされてはいたが、まさか我が子がそこに当てはまるとは思ってもみなかった。
■それでも諦めなかった特進受験 御三家など高みを目指す受験でなく、親としては、安全校でも入学できれば十分、必ずどこかには合格がもらえると思って出願校を決めていた。 3日の学校は安全校と見ていた学校よりも偏差値が高い。2日の22時半、翌3日を予定どおりに受験するか、別の学校にするかの相談が塾との間では始まった。 講師は合格体験をするために、3日午前を別の学校にしましょうと提案してきた。だが、そこは、もし合格したとしてもとても通学できる距離ではない。また本人も、今まで見たこともない学校の入試に行くのは気が引けていた。そこで3日の出願は変えず、2月6日に再度、安全校の特進クラスに挑戦することにした。