エゴン・シーレのデスマスクは意外に安価!? 28歳の非業の死を記録した作品がオークションへ
20世紀のオーストリアを代表する画家エゴン・シーレのデスマスクが、ロンドンで10月23日に行われているオークションに出品されているとアートニュースペーパーが伝えた。 1890年にオーストリアに生まれたエゴン・シーレは、ウィーン工芸学校で学んだ後、ウィーン美術アカデミーに進学し純粋芸術を追求した。そしてグスタフ・クリムトに弟子入りし、ウィーン分離派や象徴派に影響を受けながら、独自の絵画を確立した。だが1918年10月31日、当時流行していたスペイン風邪に罹ってわずか28歳で命を落としてしまう。シーレが亡くなった2日後、当時名声を得ていたオーストリアの若き彫刻家グスティヌス・アンブロージがシーレ邸を訪れ、棺を開けてデスマスクの型を取った。生前2人は面識がなかったという。 ジェーン・カリル著『エゴン・シーレ:全作品集』(1990)で、アンブロージはその時の様子をこう振り返っている。 「1918年の万聖節は美しかった……私は棺を開け、(シーレの)カラーとネクタイを取り外し、青空の下で陽光が差し込む中、デスマスクの型を取りました」
デスマスクは4枚作られ、1枚はシーレの画集を出版した版元の社長リヒャルト・ラニーに、1枚はシーレの母親に、1枚は美術評論家のアーサー・ローゼラーに渡し、最後の1枚は手元に残した。このデスマスクのうちの1枚が、ロンドンのオークションハウス「Sloane Street Auctions」で10月23日(現地時間)に行われるセールに出品される。予想落札価格は1000ポンドから2000ポンド(約19万7000円~約39万4000円)だ。 シーレのデスマスクが出品されている「20世紀、モダン、オールドマスター、イスラム美術およびアジア美術とジュエリー」オークションは、寓話的人物や風景が描かれた19世紀のルイ15世様式のピアノやアール・デコ調のジュエリーと並んで、ペルシャ絨毯やダミアン・ハーストがかつて経営したレストラン「ファーマシー」の食器などもありバラエティに富んでいる。今回のオークションについてSloane Street Auctionsのダニエル・ハントは声明で、「このセールには真の珍品や、それぞれの時代を代表する一流アーティストによる素晴らしい作品が含まれており、私たちは大変喜んでいます」と述べた。
ARTnews JAPAN