新規参入の鉄道会社が始めた「観光列車」に驚いた…!レストラン列車「丹後くろまつ号」に隠されていた「地域の観光ビジネス」成功の秘訣
「こだわり(2)」丹後のうまいものを凝縮した料理
「丹後くろまつ号」コース料理は、「地元の名店による、地元食材の提供」にこだわっているという。例えば、ランチコースで提供される料理は、地元食材をよく知るレストラン「Un Son Benir(アンソンベニール)」が、丹後の海から獲れるカニ、砂丘で育まれたフルーツなどを活かし、コース料理として丁寧に紡ぎあげたものだ。さっそく味わってみよう。 「丹後くろまつ号」ランチコースのメニューは、以下の通り。 【前菜-antipasuto-】 「セイコ蟹のテリーヌ」「スモークサーモンのパテ」「鴨のロースト」「フローレンス風キッシュ」「丹後の砂丘で育ったさつまいも饅頭」 【お魚料理-poisson piatto-】 「海の幸ムースのパン粉焼き(アメリケーヌソース)」「海鮮豆乳蒸し」 【お肉料理-viande piatto-】 ローストポーク(岩津ネギときのこのクリームソース) 【パン・バター】【デザート】 京都丹後鉄道の北側に広がる海(若狭湾)は、典型的な「リアス式海岸」だ。海の恵みを堪能できる一品として、前菜の「せいこ蟹のテリーヌ」を推したい。 峰山駅から10kmほど北側の京丹後市・間人(たいざ)は、ブランド蟹「間人かに」の一大産地として知られている。間人の海は、海岸線から急激にストン!と水深が深くなるため、十数分も漁船を飛ばせば、カニの漁場である水深200m~600mのエリアに到着できる。新鮮なまま水揚げ・出荷ができるからこそ、「間人かに」は品質が良い。 「せいこ蟹のテリーヌ」は間人を含めて、京丹後市の漁港で獲れた「せいこ蟹」(ズワイガニの雌。“こっぺガニ”とも)を使用しているという。うま味が詰まったカニを一匹一匹丁寧に甲羅から外し、カニ身・味噌・卵巣・外子などを層にして蒸し上げ、網野町産の天然塩のみで味付け。テリーヌをそのままいただいてもよし、パンに乗せてもよし、キッシュやムースに乗せてみてもよし…。 また、由良川から注ぐ水はミネラルなどを豊富に含んでいるため、コース料理で出てくる白身魚なども、食感・風味共に抜群に良い。さらに、日本海に沿って約7kmも伸びる久美浜砂丘で育ったさつまいも・メロンは、潮風のミネラルのおかげか、とびきり甘い上に、身が濃密なこと! メニュー開発を担当したUn Son Benir(アンソンベニール)の方によると、「商品にならない傷物のフルーツや野菜も『くろまつ号』のために仕入れている」とのこと。「丹後くろまつ号」にかかわる業者・生産者は、全国から訪れる「くろまつ号」ファンの評価を通じて、食材や料理の評価を得ることができる。ある意味、「地域経済と鉄道会社の“win-win”状態」を観察できる…そんな小難しいことを考えなくても、美味なものは美味だ。 供される料理が一品ごとに味わい深いのはもちろん、車窓に広がる丹後半島・若狭湾の景色も、料理に彩りを添える。 なお、鉄道を運行する「WILLER TRAINS」の社員の方々も、「美味しいもの」「満足してもらえるサービス」を、日々探しているとのこと。同社の飯島徹代表も、こんなことをしみじみと語っていた。 「この鉄道の沿線はね、基本的になんでも美味しいんですよ!私が好きなのは、久美浜で獲れるメロンやスイカなどのフルーツです!」
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