10月1日からノーベル賞発表 日本人の受賞は? 日本科学未来館が予想
「ノーベル賞」はこのまま続くのか?
ノーベル賞は100年以上前に創設された賞なので、生理学・医学、物理学、化学という区分け自体が、必ずしも現代の科学の現状に合っているとは言えなくなってきている。受賞者を「3人まで」としているのも、研究分野によっては悩ましいところだ。物理学分野では巨大な研究機器のもとに数千人規模の研究者が集まったり、生命科学でも多くの国の研究者がデータを持ち寄って解析したりするビッグサイエンスが珍しくなくなっている。平和賞のように団体での受賞があっても良いようにも思えてくる。 賞金は、時代とともに、あるいはノーベル財団の経済状態によって変わってきた経緯がある(直近では2012年にそれまでの1000万スウェーデンクローネから800万に下げ、2017年に900万クローネまで戻している)。アルフレッド・ノーベルの遺言にもとづく賞なので、遺言に明記してある各賞の変更などは無理だろうが、あとから加えた経済学賞の例もある(注)。何か変更を加えるとしたら、知名度の高い賞であるだけに、それ自体が大きなメッセージになるだろう。 (※)…経済学賞の設立には賛否があり、授賞式などはほかの賞と一緒に行われているが、正式名称はノーベル経済学賞ではなく、他の賞とは区別されている。
◎日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任 詫摩雅子(たくま・まさこ) 1964年、東京生まれ。日本経済新聞科学技術部、日経サイエンス編集部を経て、2011年より日本科学未来館。
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