10月1日からノーベル賞発表 日本人の受賞は? 日本科学未来館が予想
【物理学賞】10月2日(火)18時45分~(日本時間)
■カーボンナノチューブの発見とその応用 飯島澄男(いいじま・すみお)博士/遠藤守信(えんどう・もりのぶ)博士/フェードン・アヴォーリス(Phaedon Avouris)博士 ■光を自在に操る人工素材「フォトニック結晶」の研究と開発 エリー・ヤブロノビッチ(Eli Yablonovitch)博士/サジーバ・ジョーン(Sajeev John)博士/野田進(のだ・すすむ)博士 物理学賞は、ある程度の周期性があるとされている。「物性」「宇宙」「素粒子」の3つの分野から、順番に受賞者が選ばれている。この説に従うと、今年は物性の年だ。その中でも未来館が選んだテーマは、今のエレクトロニクスの次を見据えた2つの研究だ。 飯島博士は、60個の炭素原子がサッカーボールの模様のように並んで球状になったフラーレン分子の研究をしている最中に、偶然にカーボンナノチューブを発見し、その構造を突き止め、命名した。遠藤博士は、その大量合成法を開発した。どちらもあちこちで紹介されているので、その詳細をここで繰り返すまでもないだろう。文字通り、網目のように結びついたナノメートル単位の炭素の結晶であるカーボンナノチューブは、軽さや強度を活かして、飛行機の機体やスポーツ用品などに使われているが、その特徴を一番良く活かした応用法は、やはりエレクトロニクスだろう。実際に、カーボンナノチューブをベースには電子素子を作ったのが、アヴォーリス博士だ。 直径や構造によって導体にも半導体にもなれるという際だった特徴がカーボンナノチューブにはある。熱伝導率もよいカーボンナノチューブならば、小型化が進む電子機器での放熱の問題も解決できそうだ。現在のシリコンと銅線を基本とする電子素子にかわる炭素ベースの電子素子が期待されている。 電子を活用する「エレクトロニクス」に代わり、光をベースに応用する「フォトニクス」も期待されている。その実現に必要なのが、フォトニック結晶だ。電気の場合は、銅線などの導体と絶縁体を使って、電気を望む場所に導いていくが、光の場合では、絶縁体に相当する物質がなかなかなかったのだが、理論的にそれを考案したのがヤブロノビッチ博士とジョーン博士だ。そして、野田博士は実際にそれを作り上げることに成功した。 今年は物性の年だと物理学賞の冒頭で紹介したが、フォトニック結晶を推した未来館の科学コミュニケーターによると、さらに2005年、2009年、2014年と光に関した研究が受賞しているという。4年たった今年はまた光に関する研究が来るのではないかと考え、このテーマを選んだそうだ。