多摩地区住民約790人から「発がん性物質」が検出された衝撃…「家の水道水が危ない」京大准教授が警告する理由
■一体いつから始まっていたのか… 関西地域の河川からPFOAが高い濃度で検出され、また水道水からも検出されていたことから、水道水を中心として摂取していた可能性が考えられます。 さらに言えば、2000年以前の状況はどうだったのでしょうか。 京都大学には1万人以上の京都府民の血液サンプルが80年代から保存されていました。この血液サンプルを分析して、過去の摂取状況の推移を調べました。すると、PFOSは80年代にはすでに2000年ごろの濃度に達していて、そこから大きな変化はありませんでした。80年代以前までにすでに汚染が広がっていたと考えられます。 PFOSに対して、PFOAは83年から99年の間に4倍以上の濃度に上昇しており、この時期にPFOAの摂取量が上昇したと思われます。 どんな製品が原因になったのかはわかりませんが、この16年間で国内のフッ素樹脂の製造量が同じく4倍に増えています。その中で使用されたPFOAが環境にも放出されたと考えられます。 血中濃度の歴史的変化をたどることでPFAS汚染の推移がリアルに見えてきます。 ■「水俣病」「アスベスト被害」との違い 人での健康調査(疫学)の研究では、個人ごとのPFASの血中濃度が高いと特定の病気が必ず発症するとまでは言い切っていませんが、血中濃度の高い人たちと低い人たちを比較すると、高い人たちのほうがいくつかの病気を発症する確率(リスク)が高まるとしています。 PFAS問題は、これまでの公害問題、労働災害とは様相が異なります。 たとえば、建材として使われてきた石綿(アスベスト)は発がん性があるとされていますが、がんの中でも悪性胸膜中皮腫という特殊ながんを引き起こすことで知られています。そのため、過去に仕事でアスベストを扱ったことがある人であれば、アスベストが高確率で原因と特定できるわけです。 また、神経障害を起こす水俣病はメチル水銀を多く摂取して発症していれば、水俣病患者と認定されました。