「ペットボトルの蓋」で70代女性は人生に絶望した…ピンピンした人が突然「メンタル不調」になる意外な原因
■そのグリーフにどんな意味があるのかを考える 【澤円】「⑤再生期」について、もう少し深掘りさせてください。強い悲しみや絶望から立ち直って新しい一歩を踏み出すには、どのような行動や考え方が必要になるでしょう。 【中島輝】ヴィクトール・フランクルというオーストリアの心理学者が提唱した、「逆説志向」というものが有効だと思います。逆説志向とは、本人が不安や恐れを感じることを、自ら積極的に望んだり行ったりすることを意味します。 強いグリーフに襲われたとき、人間は悩み苦しみます。でも、逆に考えれば、「グリーフに悩み苦しむからこそ人間だ」ともいえますよね? ですから、グリーフが訪れたときは、そこから逃げるのではなく、あえて悩み苦しむのです。 そうして悩み苦しむうち、例えば「ペットの死は、自分にどのような意味があったのだろう?」「これから生きていくうえで、なにか大切なことを教えてくれたのではないか?」といったように、ペットの死というネガティブな出来事にあるポジティブな側面に目を向けられるようになり、立ち直っていけるのです。 【澤円】確かに、「身近な人やペットの死」といったものがなければ、日常のなかで死について深く考えることはあまりありませんからね。 【中島輝】愛する人やペットが亡くなったという事実は、言葉では言い表せないほど悲しいことでしょう。でも、いくら自分を責めたり後悔したりしてもその事実を変えることはできません。そういった悲しい出来事が、自分に与えてくれた意味を考えるきっかけとしてほしいと思います。 ---------- 中島 輝(なかしま・てる) 心理カウンセラー 自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。 ---------- ---------- 澤 円(さわ・まどか) 圓窓 代表取締役 1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。 ----------
心理カウンセラー 中島 輝、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹