新人ベアマン、予選でベテランの僚友ヒュルケンベルグ下すもQ2敗退に落胆「FP3のクラッシュから後手に回った」
ケビン・マグヌッセンが出場停止処分を受けたことで、ハースからF1アゼルバイジャンGPに代役参戦しているオリバー・ベアマン。今季のサウジアラビアGPでフェラーリからデビューして以来のF1出走となった。 【特集】マグヌッセン以前に出場停止を食らった7人のF1ドライバー……その“罪状”は何だったのか? 来季ハースからのF1フル参戦が決まっているベアマンはそんな中、キャリア2度目のF1予選でベテランのチームメイトであるニコ・ヒュルケンベルグを上回る11番手。ただ、Q2ではウイリアムズのアレクサンダー・アルボンから0.128秒差で敗退となっており、トップ10入りを逃した悔しさは消えないという。 Q2の最終アタックでベアマンは、古城セクションのターン11とターン12でマシンがスライド。ここでのタイムロスが響き、Q3進出に足るタイムを刻むことができなかった。 Q3進出を逃したことを知ったベアマンは、チーム無線で憤りを示した。 「(タイヤを)ロックアップしてしまった。ちくしょう! 僕は本当に馬鹿だ」 予選後、ベアマンはQ2で何が起こったのかを次のように説明した。 「城の区間を登っていくところだったターン11で深く攻めすぎて、ターン12でスナップがあり、予選の最終ラウンドに進めないほどタイムをロスしてしまったんだ」 ただベアマンは、予選前に行なわれたFP3序盤でクラッシュを喫して、ソフトタイヤでの貴重な走行機会を失ったことが大きな影響を及ぼしたと考えている。 FP3でベアマンはターン1を曲がりきれずエスケープへマシンを逃がそうとしたものの、走行ラインの外はグリップが低くウォールを避けきれず左フロントからヒット。そのままマシンを降りることとなった。 「後手に回ってしまったのは確かだ」とベアマンは振り返った。 「自信はなかった。例えば予選で犯したミスは、FP3で(走行を継続できていたら)既に経験していたはずのミスだっただろうし、どうすればそうならないかを考えていたはずだ。僕らは走行距離を沢山失っていたんだ」 「まず、コースの違いを考慮していなかった。基本的にFP2からコースのコンディションが少し悪くなっていたんだ。FP2よりも少しブレーキングを遅らせたのは大きな問題じゃなかったけど、そこから回避しようとした時にラインが滑りやすくなっていて、間に合わなかった」 FP3ではバクー市街地コースの洗礼を受けたベアマンだったが、予選では11番手。ヒュルケンベルグは14番手であり、経験豊富なチームメイトを上回ってみせた。 それでもベアマンは、自身への苛立ちを抑えることはできなかった。 「いや、僕はQ3に進出できていたはずだった」とベアマンは言う。 「僕は自分に厳しいんだ。マシンはもっと速く走れたはずだからね」 「もしマシンが11番手のスピードなら、今は本当にハッピーだったと思う。でもマシンは間違いなくQ3を狙えるスピードがあった」 「(FP2後、マシンを修復するため)みんなに大変な仕事をさせてしまった。僕らがコースに出る5分前にマシンを仕上げてくれたんだ。疲れ知らずの彼らに大きな拍手を送りたい」 「FP3でソフトタイヤを2セット余分につかえていれば、Q3に進めたと思うだけに少し残念だ。僕のキャリアのこの段階では、それはとても貴重なモノだ」 一方でヒュルケンベルグはベアマンの市街地サーキットでの実力を賞賛した。 「常に自分のチームメイトよりも速くありたいモノだけど、それを強調し過ぎることはない」とヒュルケンベルグは肩をすくめた。 「オリー(ベアマン)は(市街地)コースのスペシャリストだと思うし、それを何回も証明してきた」 「彼は昨日の1周目からペースが良かったし、ここで快適に走れていた。良い自信もあった。素晴らしい仕事をして、とても上手くクリーンにドライブした。疑問の余地はない」 「彼から何かを取り上げるつもりはない。彼はこれからF1に参戦し、長いキャリアを歩むことになるんだから、スピードがあるかどうか疑う必要はない」
Filip Cleeren/Oleg Karpov