野村周平「ひとりで過ごす時間が豊かになって、歳をとるのが楽しみになってきた」
── そういうふうに考えるようになったのはいつ頃からですか? 野村 2019年にアメリカ留学をして、そのすぐあとにコロナ禍になって。今までやっていたような遊びができなくなって、「あれ? 遊ばなくていいじゃん」って気がついたことは大きいですね。そこから大人になることを意識し始めた。飲みに行くのにいちいち誰か誘わなくても、ひとりでも全然いいんだってわかったし。 ── 今、野村さんは何をしている時が、心が満たされていると感じますか? 野村 この舞台の稽古が始まる前に少しお休みをとって、アメリカに行っていたんです。ロサンゼルスからレンタカーしてロードトリップ、最終的にアラスカまで! しんどかったけど、見える景色は最高だった。ずっと先まで地平線が続いていたり、一本道の先に雪山が見えたり。そういう風景を見ずに、死ねないなって思いました。だから、人生に絶望したとかそんなこと言っている人がいるなら、なんでもいいから金をかき集めて、いくつからでもいいからとりあえず、旅に出なよって言いたい。僕も、まだまだ旅に出て、見たことのない景色をたくさん見たいですね。
● 野村周平(のむらしゅうへい)
1993年11月14日生まれ。2010年俳優デビュー。’12年NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で脚光を浴びる。’14年『日々ロック』で映画初主演。その後、映画『ALIVEHOON アライブフーン』、『そして僕は途方に暮れる』『隣人X -疑惑の彼女-』、『サイレントラブ』などに出演。現在『十一人の賊軍』が公開中。BMX(バイシクルモトクロス)やスケートボードなど、ストリートカルチャーにも精通。中国語も習得している。
『ヴェニスの商人』
高利貸しのシャイロックから、親友のために自分の肉を担保に金を借りる高潔な商人。深い人物描写と痛快な展開で時代を超えて愛されるウィリアム・シェクイスピアの傑作を、第21回読売演劇大賞・最優秀演出家賞受賞の森新太郎が、草彅剛主演で演出。 演出/森新太郎 出演/草彅剛、野村周平、佐久間由衣、大鶴佐助、長井短、華優希、小澤竜心、忍成修吾ほか 製作/TBS・CULEN 東京公演12月6日~22日、京都公演12月26日~29日、愛知公演2025年1月6日~10日
文/安井桃子 写真/平郡政宏 スタイリング/清水奈緒美 ヘアメイク/須賀瞳 編集/森本 泉Web LEON)