野村周平「ひとりで過ごす時間が豊かになって、歳をとるのが楽しみになってきた」
普通でいることを大事にしたいし、その普通の水準もどんどん上げていきたい
── 30代に突入して、「大人」を意識する瞬間は増えましたか? 野村 短気は大人になってちょっとおさまってきたかも。20代の頃は夜中飲み歩いたりクラブ行ったりなんて遊び方もしていましたが、もうそれはいいやって。それよりもひとりでキャンプへ行ったり、自然の中で遊んだり。または家で映画を観たり小説を読んだりしたい。そういうひとりで過ごす時間が豊かになってくると、周りにも前よりは優しくできるようになった気がします。
── 意識が変化してきた? 野村 僕、最近歳をとるのが楽しみになってきたんですよ。周りには年上の40代から80代まで、カッコいい大人の男友達がいて、そういう人たちを見ていると、歳をとるのって悪くないじゃん、どんどんカッコよくなれるんじゃんって。80代の友達は、向こうからしたら僕なんて孫みたいなもの。でも一緒にいるとすごいキラキラして、好きなことやっているんですよ。それってすごくいいなって。 ── 野村さんの理想の大人像は? 野村 その人みたいに、趣味があって、いろんな知識もあって、そういう大人はやっぱりカッコいい。好きなことをずっと好きでキラキラしている、子供の心を持った大人になりたいですね。そのために今いっぱい映画を観たり、小説を読んだりして、知識を蓄えているところです。僕はバイクが好きなんですが、例えばハーレーから降りてきて、おもむろにポケットから文庫本出して読み始めるとか、むっちゃカッコよくないですか!?(笑) ゴリゴリのアメリカンヴィンテージファッションに身を包んで「君は芥川をどう思う?」とか、聞いてくるの、いいですよね!? だから僕は最近、代々木公園までバイクで行って、人の多いところで降りてわざと文庫本読んでいます(笑)。あとはね、やっぱりダサいことしない大人になりたい。
── 野村さんにとってダサいこととは? 野村 嘘をつくこと。あとは僕らのような仕事は、プライベートの時間もどうしても見られていますよね。見られているのがわかっているなら、酔っ払って暴言吐くとかカッコ悪いことはできないし、したくない。困っている人は助けたいし、おじいちゃんおばあちゃんには優しくしたい。自然とそういうことができる人になりたいです。そういうシーンは週刊誌って全然撮ってくれないんですけど(笑)。 そもそも「困っている人助けて偉いね」とか、「小説たくさん読んでいてすごいね」なんて言われたとしても、それって全然普通のことですよね? 人助けと本を読むことがすごいってどれだけレベルが低いのよって思っちゃう。「役作りしてすごいですね」とかも、当たり前でしょう!? 役者なんだから。普通だから。普通でいることを大事にしたいし、その普通の水準もどんどん上げていきたいです。