野村周平「ひとりで過ごす時間が豊かになって、歳をとるのが楽しみになってきた」
強がらない、カッコつけない。早めに恥ずかしいところを見せておく
── 現代風ではなく、クラシックな台詞が多いそうですね。 野村 ええ。確かに現代の言葉では言わないような台詞が多くあります。そもそも読めない字もいっぱいあって、辞書を引きながら。どうしてもわからなければ演出家の森新太郎さんに聞いて、翻訳の松岡和子さんもいてくださることもありますし、稽古の場のどこかに答えはあるのでそれを見つけながらですね。 やっぱりカッコいいじゃないですか、「今、俺シェイクスピアやってるんだけど、観にくる?」なんて言えるのが。馬鹿そうなのに博識っていうキャラを、僕は狙っていますから(笑)。
── 役者同士のコミュニケーションのために意識していることはありますか? 野村 早めに恥ずかしいところを見せておく。特に舞台だと長い期間ずっと一緒に過ごすことになりますよね。最初に強がったり人見知りしたりすると、お互いずっと緊張したまま時間が経ってしまう。それだとなかなかいい芝居はできないと思います。だから今回も「もう俺、シェイクスピアとかよくわからん!」って最初に言っちゃいました。そうすることで教えてくれる人もいるし、同じように感じていた人も安心できるはず。強がらない、カッコつけない。そこは意識していますね。 ── 現在31歳、年下の仕事仲間に対してはどうコミュニケーションをとっていますか? 野村 俺はいつでもウエルカムだよって雰囲気を出しつつ、話しかけてくれるのを待つ感じでしょうか。話したいタイミングって相手によって違うだろうし、自分からはガンガンいきません。でも最初に「俺のこと、アメリカ人だと思って接してもらっていいから」みたいな雰囲気は出すようにしているし、それは年下年上関係ないかも。あ、でも仕事場での人生相談は受け付けません! そこは本当に仲良くなった人だけ、仕事仲間にいい加減なこと言えませんから。
── 「ヴェニスの商人」では主演の草彅剛さんとどんなお話をされますか? 野村 バイクとか、ヴィンテージファッションとか、草彅さんとはすごく趣味が合うんです。この前も僕が着ていたパーカを「それいいね」ってずっと言ってくださって、ちょっと僕が脱いだ隙に、いつの間にか着ていました。「ごめん、ちょっと着ちゃった、これサイズいくつ?」「いや、別にいいですけど、このサイズは……」っていうやりとりが。というか、普通勝手に着ませんよね!?(笑) 草彅さん以外だったらえっ!? って思うけど、草彅さんだからいい(笑)。それはヴィンテージ風の普通のパーカなんですけど、その数日後には僕と色違いを買って持ってきて「これ、ノムちゃんパーカって呼んでいるの」っておっしゃっていました。草彅さん、ほんとに素敵です。