千葉ロッテ“令和の怪物”佐々木朗希がデビュー戦で見せた光と影…大谷翔平のデビュー時との違いとは?
佐々木のプロデビュー戦をどう評価すればいいのだろう。 元阪神、ヤクルト、ダイエー(現ソフトバンク)でプレーしてパの野球に詳しい評論家の池田親興氏は「元々ストレートに力があることはわかっていたが、コントロールの良さに驚いた。ストレートに関しては抜けたボールはほとんどなかった。あれだけまとめることができるのは才能だと思うしゲームを作る力がある。大谷翔平のデビュー時と比べてまとまりという点では佐々木が上だろう。4失点したが、十分合格点を与えることができるピッチング内容」と評価した。 「足を高く上げるフォームだが、オープン戦で見たときよりもバランスがよくなり、ストレートはほぼ150キロを超え、その球質にバラつきはなかった。おそらくまだまだスピードは出るのだろう。まだコントロール重視で制御しているように見える。今の段階でストレートの威力は大谷翔平のデビュー時に及ばないが、そこはノビシロ。最速は154キロ程度だったが、打者は、佐々木の手足の長さからくる威圧感と、当然、リリースポイントが前にあるため“球速以上に速い“”タイミングを取り辛い”という体感があったのではないか。6安打されたが、凡打も含めまともに痛打されたのは2球程度しかなかった。7割ほどが、そのストレート。打者は、当然、そのボールに絞ってくるのでフォークが生きる。もっとインコースを使えばよかったと思うが、森に対しては使えていたし、後半にそういう配球を交えると、さらにフォークの効果が出ていた。またピンチでのマウンドさばきにも落ち着きがありメンタルの強さも感じた」 与えた4球は2つだけ。ストライクを取ることに苦しむ場面はなかった。また球数が100球に近づいた5回こそ、球速が149キロに落ちていたが、それまですべてが150キロを超えコントロールと共にストレートの質にも安定感があった。 一方で課題も浮き彫りになった。5盗塁は異常な数字。足のある走者には好きなように走られていた。 池田氏は、「走者を置いても左足を必ず跳ね上げるようにしてつま先を立ててからステップするのが、その分遅れる。いわゆるクイック、スライドステップと呼ばれるものができていない。牽制やボールを長く持つなど、その他の工夫でカバーはできるが、走者を置いてリズムもワンパターンだった。今の状況で無理にスライドステップをすればバランスが崩れてしまうなどの問題も出てくるのだろう」と指摘した。 名将、野村克也氏はクイックで1.30秒以上がかかると失格とみなしていた。実は、この日の佐々木のクイックを手持ちの時計で簡易計測すると、常に1.20秒台をキープしていた。データ上の数値では悪くはなかったのである。だが、5つも走られた。 佐藤のスローイングがいずれもワンバウンドするなど、二塁へストライクを投げられなかったこともあるが、走者には、ことこどく好スタートを切られていた。完全にフォームを盗まれてしまっていた。牽制か、ホームか、の明確なフォームのクセが出ていたと考えられる。そこを突いてくるのがプロの世界。井口監督が登録抹消をして再調整を命じたことも納得である。