原采配の妙…なぜ巨人は伝統GT戦2000試合を勝利で飾ることができたのか?
伝統の巨人対阪神の8回戦が15日、東京ドームで行われ巨人が5-3で逆転勝利。GT戦通算2000試合の記念試合は、白熱の好ゲームとなったが、裏をかく機動力を使い、9回に3投手を注ぎこみ“一人一殺“の継投で逃げ切った原野球が冴えわたった。阪神とのゲーム差は3.5。まだまだペナントレースの勝負は先だが、菅野、坂本、デラロサの主軸を欠きながらも、監督力で持ちこたえている巨人は首位をキープする阪神にとって不気味な存在だ。
9回に”一人一殺リレー”で薄氷の逃げ切り
最悪の展開にも原監督は奥の手を用意していた。 2点のリードで迎えた9回。原監督はマウンドに鍵谷を送った。打順の巡りを見て、デラロサがいない間、ストッパーに指名していた左腕の中川をマルテから始まる8回に使い、下位の梅野から始まる9回には鍵谷を使ったのである。 だが、その鍵谷が重圧からか、力を発揮できない。梅野に三塁強襲の二塁打を打たれ一死から途中出場の陽川、近本に連続四球。満塁となって原監督が動く。 まずは糸原に変則左腕の大江をぶつけた。 「とにかく一人を全力で打ち取るいう気持ちで上がりました」 大江は集中していた。 スライダーを徹底した。 3球以上、同じ球種を続けるのは配球タブーだが、そのセオリーも無視した。 カウント1-2からは、「力んでストレートを外した」(大江)とストレートが大きく外へ外れたが、カウント2-2からのウイニングショットもまたスライダー。背中から曲がってくるような独特の軌道のボールに糸原のバットが空を切る。 「2-2となってのスライダーが決まってよかった」 外野フライでも1点の場面。三振は最高の結果だった。 まだ二死満塁。前日に一発を打ち、この日も1本ヒットを打っているマルテを迎えて原監督は大江から野上にスイッチした。一人一殺の必勝リレーである。 西武からFAで移籍して4年目。昨年はアキレス腱の怪我で1度も登板のなかったベテランの野上は「1点はしょうがない。コースを突けるように。大江ががんばってくれたんで、それを無駄にしないように腕を振った。二死満塁だったがランナー無しのつもりで投げた」と落ち着いていた。一発だけは警戒。徹底して低めに変化球を集めてカウントを作ると、最後は外のスライダーを引っかけさせた。ショートゴロでゲームセットである。