「長い文章や感想文が書けない」子どもになる原因とは? 自分の思いを“言語化する”ための5ステップを専門家が解説(レビュー)
■指導されないまま大人になることも多い、言語化するための「技術」
そこで、子どもたちに本書にかかれているような、言語化する技術を教える必要があります。子どもたちに指導する場合は、次の5つのプロセスを経て指導していきます。 (1)物語形式(起承転結の4部構成)または説明文形式(序論、本論、結論の3部構成)のフォーマットを用意します。 (2)「転」「本論」のメインの部分は良かった箇所、印象に残った箇所とその理由を3つメモします。 (3)次に、(2)の印象に残ったことと同じような体験をしたことをメモします。 (4)気持ちの表現は、当該学年で習う形容詞(ネット上にまとまって記載されている)から選択します。 (5)以上のメモを見ながら、(1)のフォーマットにそって書いていきます。 このプロセスで子どもたちは、作文や感想文が書けるようになります。子どもの頃に書く技術を知らずに大人になってしまうため、そのまま書く技術が未習得のままでいることもあります。すると、「やばい」「すごい」「楽しい」「面白い」としか表現する言葉が出てこない結果になることもあるのではないかと、本書を読んで感じました。 しかし、これらはスキルであるため、書き方や表現法を知ってしまえば、誰にでもできます。特に「推しや好きをどのように伝えていくのか」という強烈なモチベーションが湧いてくるテーマで、本書に書かれている技術のいくつかだけでも実践できれば、面白いように自分の気持ちが人に伝わっていくのではないかと思います。 自分の推しが広がることの喜び、そんな世界で満たされていけば、世の中は平和であり続けることでしょう。 [レビュアー]石田勝紀(一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事) いしだ・かつのり 一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事。20歳で起業し学習塾を創業。いわゆる詰め込み勉強をさせず、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導をすることで、学力上昇のみならず、社会に出ても活用できるスキルとマインドを習得させてきた。現在は、「日本から勉強嫌いな子をひとり残らずなくしたい」という志のもと、Mama Cafe、執筆、講演活動を精力的に行っている。『東洋経済オンライン』での人気教育連載コラムは、累計1.3億PV(2024年7月1日時点)を記録している。国際経営学修士、教育学修士。 協力:ディスカヴァー・トゥエンティワン ディスカヴァー・トゥエンティワン Book Bang編集部 新潮社
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