経年変化も楽しめる! 深刻化する日本の放置林問題に向き合った「間伐材フローリング」[FRaU]
適切に手を入れることで、健やかな森林を保とうとする持続可能な森づくり。日本でも、自分が暮らす地域の森を元気にするための取り組みが各地で始まっています。建築やデザイン、食やレジャー、教育など、そのアクションはじつにバラエティ豊かでユニーク。その根底には、森と共生することで自然も自分たちの暮らしも豊かにしたいという思いがありました。
HOKKAIDO WOOD BUILDING(北海道)
北海道産の木材で建築を。森林と環境、経済を健やかに。 日本の森林面積の約1/4を占める森林を有する北海道では〈HOKKAIDO WOOD〉というブランド名称を発足。北海道の森林で産出された木材を用い、道内で加工された製品の証として様々なPR活動を行ってきた。 2021年には道産木材を使用した道内の非住宅建築物を〈HOKKAIDO WOOD BUILDING〉として登録する制度を開始。建築物の木造化・木質化を推進している。
2024年3月までに66施設が登録され、保育園、宿泊施設、市庁舎、郵便局など様々な施設が誕生している。道内の木材を使用することは森林を健全に保ち、林業を活性化する。植林した木々が育つことでCO2の吸収も期待できるとあって、今後も制度をよりよく見直しながら、認知拡大を進めていく予定だ。
工藝の森(京都府)
工藝の“生態系”の再構築・循環を目指して。 植える、育てる、作る、使う、壊れたら直す。その中で技術や道具が生まれ、磨かれて工藝となる。しかし効率を追い求めた結果、自然や手仕事に対する感謝が失われてしまった。 そんな現代に危機感を抱き、作ること、使うことが森を育てることにつながる社会を目指すのが〈工藝の森〉だ。
かつて平安京造営の木材供給地でもあった京北で、工藝素材を育むモデルフォレストや、旧小学校に設けた開放型のファブスペース〈ファブビレッジ京北〉、木製サーフボード工房を併設した事務所兼シェアスペースを拠点とし、地域産材を使った循環的なものづくりを促進している。今後はより概念を広く伝えるため、アーティスト・イン・レジデンスや教育プログラムなどのプロジェクトも開催予定。