〈中川政七商店〉がアイヌ工芸作家と初協業。アイヌ刺繍を現代の暮らしに取り入れる。
アイヌ刺繍を取り入れたタペストリーや飾り布などのインテリアコレクションが新たに16種が発売となる。 【フォトギャラリーを見る】 奈良県奈良市に1716年に創業した〈中川政七商店〉が、「くらしの工藝布」シリーズの新作として、アイヌ刺繍を取り入れたタペストリーや飾り布などのインテリアコレクションを製作。中川政七商店 渋谷店、奈良本店、オンラインショップをスタートした。 「くらしの工藝布」は、2023年11月に中川政七商店が立ち上げた、古くからある工芸の技に向き合い、今のくらしに再解釈するインテリアコレクションだ。日本の北方地域の先住民族・アイヌ民族は、自然と共生する暮らしの中で独自の工芸文化を育み、その技術は現在も刺繍や木彫など、多くの工芸品に受け継がれている。アイヌ民族に伝わる工芸を現代のくらしに溶け込むインテリアとして表現したのが、今回の「くらしの工藝布 アイヌ刺繡」シリーズとなる。
「くらしの工藝布 アイヌ刺繡」シリーズは、北海道釧路市阿寒町に暮らすアイヌ工芸作家8名とともに製作。3年の歳月をかけて、くらしの景色をつくる16種のアイテムが誕生した。 伝統的な文様「アイウㇱ」に加え、今回、アイヌ工芸作家が新たに9種の文様を描き起こした。なかでも白生地に白い糸を重ねた刺繍はアイヌ工芸品として珍しいデザインで、雪、空、木々など阿寒湖の豊かな自然を表現したものとなっている。
刺繍の製法には、アイヌ民族の伝統技法である手刺繍の「イカラリ」や「オホカㇻ」を取り入れ、また手作業では難しい2メートルに及ぶ大判サイズは機械刺繍で表現。繊細な手刺繍の美しさと、インテリアに存在感を与える大判の機械刺繡、それぞれの違いも楽しめる。
商品のラインアップは、空間の主役になる「タペストリー」「飾り布」、そして、棚上にアクセントを加える。さらに食卓やベッドサイドを彩る「多様布」「掛け布」を用意している。一見するとアイヌ工芸品には珍しい配色が多いようにも思えるが、これは、阿寒湖の凛とした空気感や雪景色をイメージしているのだとか。アートを飾るように家に布を飾る──。作家がそれぞれの思いを込めて丹精した布はいつもの部屋に新たな景色をもたらす。
くらしの工藝布 アイヌ刺繍
〈中川政七商店〉オンラインショップ、渋谷店、奈良本店。
text_Aya Hasegawa