シミの改善にも効く! 漢方薬は美容の悩みにも効果を発揮!【40代・50代、漢方の知識、基本のき⑥】
気血水の状態をチェックして、最適な漢方を選択します
六病位を決めたあと、次にチェックするのが「気血水」の状態なのだそう。 「“気”が不足している人は、精神的トラブルや肉体的トラブルを抱えていることが多く、気を補う“人参湯(にんじんとう)類”の漢方薬を用いることが多いです。 例えば、家事、仕事、親の介護など、何らかの原因で心身ともに疲れているような状況で、顔のシミが気になるという人に人参湯類を使います。 人参湯類の基本となる漢方薬は、“人参湯”で、ほかに、四君子湯(しくんしとう)、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などがあります。 胃腸の調子を整えて体調を改善していくので、数週間ほどで徐々にシミが薄くなりやすいです」 《気(き)が不足していて、シミが気になる人に》 ●人参湯 胃腸の不調があることが選択のヒントになる。消化機能を回復するために用いられる。食欲不振、胃痛、胃もたれ、胃腸が弱い、疲れやすい、虚弱、手足の冷え、頻尿、めまい、動悸などに。 ●四君子湯 胃の不調があることが選択のヒントになる。胃もたれ、食欲不振、元気がない、全身の無力感、息切れ、顔色が悪いなどの症状に。 ●六君子湯 精神的要因があることが選択のヒントになる。胃と脳に作用して食欲を増す作用がある。食欲不振、胃部膨満感、全身倦怠感、めまい、不安、不眠、抑うつ状態などに。 ●補中益気湯 胃腸障害と疲労感があることが選択のヒントになる。さまざまな原因による消化機能の衰えや倦怠感などに用いられる。 《血(けつ)に異常があり、シミが気になる人に》 「一方、瘀血(おけつ/血の滞り)や血虚(けっきょ/血の不足)など、“血”に異常がある場合は、月経周期との関係と考えられるので、この場合は、四物湯(しもつとう)類が基本となります。 肌の手入れを怠ってしまったり、日焼け、かぶれなどのほか、女性ホルモンの影響でシミができたときに、四物湯類を使います。 四物湯類の基本となる漢方薬は四物湯で、ほかに、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などがあります。 女性ホルモンを調節することで体調を改善し、数週間で徐々にシミを薄くしていきます」 ●四物湯 瘀血、あるいは血虚が選択のヒントになる。皮膚トラブルでは、シミ、乾燥、皮膚掻痒感(そうようかん)、しもやけなどに用いられる。そのほか、婦人科疾患や貧血などにも用いられる。 ●当帰芍薬散 冷えとむくみがあることが選択のヒントになる。皮膚の症状では、シミのほか、皮膚にツヤがないなどの症状に用いられる。婦人科系疾患に用いられることが多い。 ●十全大補湯 血虚、気虚に用いられる。手足の冷えと疲労感があることが選択のヒントになる。皮膚トラブルでは、シミのほか、アトピー性皮膚炎、皮膚粘膜乾燥萎縮、慢性化膿性皮膚疾患などに用いられる。病後の体力低下などにも。 《水(すい)に異常があり、シミが気になる人に》 「また、水に異常がある場合は、二陳湯(にちんとう)類の漢方薬が基本となります。 体の不調から朝起きたときに手足のむくみを自覚したり、夕方になると足がむくむときに、二陳湯類を使います。 二陳湯類の漢方薬には、二陳湯、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)などがあります。 胃腸の調子を整えて、水分の代謝を調節することで、数週間で徐々にシミが薄くなっていきます」 ●二陳湯 水滞(水の滞り)が選択のヒントになる。水滞は、体の水がうまく働かず、脱水症状が起きたり、むくんだりすること。めまい、動悸、頭痛、耳鳴り、悪心(おしん/吐き気)、口渇(こうかつ)、立ちくらみ、朝のこわばり、急性・慢性胃炎などに用いられる。 ●半夏白朮天麻湯 胃腸虚弱が選択のヒントになる。食欲不振、元気がない、胸腹部が張って苦しい、めまい、頭痛、冷え症、自律神経失調症などに用いられる。 このように、シミといっても、用いられる漢方薬は、その人の体の状態によってさまざま。 美白コスメを使ってもなかなかシミが改善しないという人や、レーザー治療をしても繰り返しシミができるという人などは、漢方薬を試してみるのもよいだろう。ただ、自分で選ぶのはなかなか難しいので、漢方薬に詳しい医師に相談するのがおすすめだ。 また、下では市販の漢方薬についても紹介しよう。
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