二拠点生活で自己肯定感も爆上がり! 築75年”超ビンテージマンション”に低予算投資したら「予期せぬ人生の変化」が起きて大正解だった 小説家・高殿円
起床直後から変化したマイルーティン
神戸の生活となにが違うのか、ゆっくり考えてみた。まず自分はここにきて、完全に一人になる。朝、太平洋からあがってくる太陽を浴びて起き、水道の蛇口をひねってコップいっぱいの水を飲む。 ここからして神戸の生活とは違う。神戸の家ではそこまで水が飲みたいと思わない。さらに伊豆の家では朝起きてすぐ温泉に入る。湯舟につかりながらネットチェックをしてマーケット情報を見たり日経を読んだりしてだらだらし、体温をあげるとびっくりするぐらい気持ちが晴れやかになる。朝一番になにをするかがまず違うのだと気づいた。 バスローブ姿のままカフェラテを入れ、べランダでぼーっと海を見ながら株の売り買いをしたり、メールを返信したりして時間が過ぎていく。 お昼まで軽く仕事をして、後場の寄り付きを見てからコーヒーを入れ、おなかがすくまで仕事をしてからジャージ姿で買い物にでかける。ここは山しかないので化粧なんてしなくても気にならない。わたしの眉毛を見ているのはそのへんの野鳥だけだ。 くだんの魚屋さんやお肉屋さんやカフェ、バスを使って駅前のスーパーに買い出しに出かけることもある。思いっきり歩いて、買い出しをして帰ってきたら即温泉。そう、伊豆の我が家のお風呂は蛇口をひねれば温泉が出るのだ。帰ったら温泉があるかと思うと汗をかくのも気持ちがいい。 どんなに寒い冬の夜も、何度も温泉に入れば自己肯定感は爆上がりする。今日も買い出しついでに8000歩も歩いてしまった。神戸の家にいたら100歩も歩いていない日もあるのに。今日もまた知らないお魚を買ってしまった。ああ、お水がおいしい。温泉が気持ちいい。眠い。もう寝よう。私の睡眠障害は、伊豆でゆっくりとよくなっている。朝、またきれいな海がみられるかと思うと明日が楽しみでたまらない。
築古リゾートマンションを選んだのは低コストで元が取れると判断したから
よく、超ビンテージを買うなんてばかげてるという声を聞く。そんな古い家を買ったらなにが起こるかわからないじゃないかと。そりゃあそうだ。明日天変地異が起きてマンションが崩れ落ちるかもしれない。でも私はまだ10代のとき、新築の家もピカピカのビルも百貨店も学校も工場も、一瞬で壊れて焼け落ちるのを見てきた。人間、いつ何が起きるかわからないのだ。 ただし大枚をはたいて買った家がおじゃんになるのだけは避けたいから、リスクヘッジとして低投資で買うことを心がけた。最悪、災害が起きて住めなくなっても私には神戸の家がある。かならず投資は余剰資金でやるべし。だから私は予算を300万円と決めた。私のライフスタイルの場合、サブの2拠点目でも300万なら最低3年も住めば十分元がとれると判断したからだ。 そして維持費を最低限にするため、部屋は40平米あればいい。もしあなたが気になっている部屋があるなら、まずはマンスリーやウィークリーでレンタルして住んでみることをおすすめする。不便でも気にならないことは人によって違う。私のように「洗面所は朝しか使わないのにスペースをとるだけ無駄だからキッチンと兼用でいいよね」と思える人間だっているだろう。 現在、我が家が払っているのは温泉使用料や水道代、電気代をぜんぶ入れて月に3万弱だから、年間の維持費が30万だ。30万も払うならマンスリーを1カ月借りたほうが気が楽という人もいるのは当然の話。私の場合は決まった布団やドライヤーなどを使いたい性格なので、レンタルよりは持ち家のほうがストレスは少ない。ようは本当に個人の性格次第というわけ。 私がレンタルではなく持ち家にしたもう一つの理由は、不動産投資としてのメリットだ。流動性がある物件であると判断、300万投資しても650万ほどで売れるだろうと見込んでいた(現在、同じ物件の価格相場は800万ほどになっている)。 税金を抜いて300万分の維持費はざっくり計算すると10年だから、10年使って650万で売ればマイナスはないし、その間にマンスリーで稼働させた分は完全な利益になる。 都会の不動産は素人が気軽に参入できる金額ではなくなり、地方の国公立大学の周辺でのアパート投資がもてはやされた時代もあったが、現在は業者が寮事業に参入して地の利のない身には難しい面もある。どうせ家を買うならば、自分も使えて、さらにお金を生み出してくれるリゾート物件が良いのではないか。