なぜ関東学連は日大の復帰を認めなかったのか。この先に残した問題とは?
会見では立教大OBの柿澤優二理事長が「日大は関東の宝。いつか越えてやろうというチームが出られないのは非常に重たい事実。リーグ戦には対戦相手がある。彼らの安全を担保していかねばならないのが関東連盟の使命である。苦渋の判断とは言わないが、日大の学生、指導者は、この判断を重く受けとめ、認識を深め再建策を実行していただきたい。社会からフェニックスは立ち直ったと、早期に認められることを願っています。日大が参加できないのは残念だが、解決にむかってフットボール部だけに任務を押しつけたような形になった日大のガバナンスに憤りを感じています」と語り、途中、涙ぐむ場面もあった。 涙の理由は、悲しみと怒り。日大という田中理事長をトップにいただく巨大組織と、アメフト部との問題意識の温度差にある。 森本専務理事は、「大学のガバナンスに問題は広がったが、そういうことに関係なく、絶対に復帰するぞ、という熱い気持ちと、QBに申し訳なかったという気持ち、そして、二度と、こういうことを起こさせないぞ、とグラウンド側からの提案がもっと熱くあれば、経営側の大人の事情を跳ね返せたのではないか」と、その温度差を埋めるほどの激しい動きがアメフト部の現場から起こらなかったことを指摘した。だが、内田独裁体制に圧迫され続けてきたアメフト部には、今は、そういうリーダーも不在なのだろう。 日大の新監督、コーチの選考委員会の一人でもある元関学のスターQBだった有馬隼人氏は、1シーズンの出場停止により、選手それぞれの意思があれば、留年さえすれば新1年は4年間、4年も来季5年生としてプレーできることを会見で確認していたが「関東学連の結論は妥当だったと思う」と、感想を述べ、こう続けた。 「選考委員をやっていて感じるのは、日大という組織がバラバラだということ。ひとつにまとまれば、しっかりとした改善策を作れたはず」 検証委員会が、解除を認めないことで、伝えたかったのは、日大のガバナンスが整備されない限り、再び、このような問題が再発しかねない、という警鐘なのだろう。 だが、問題は残った。これで一件落着ではない。