ウクライナ、消耗戦で形勢厳しく 東部クラホベ方面でもロ軍がじりじり前進
ロシア軍は20日から21日にかけてウクライナ東部ドネツク州の都市クラホベ方面に大勢の部隊を投入し、その手前の村マクシミリヤニウカで400mほど前進した。この村の西3kmほど先にあるクラホベに向けて、大きな損害を出しながらも引き続き徐々に進軍している。 マクシミリヤニウカの東西に数百mの一帯を占領するために、ロシア軍は数百人の人員を犠牲にした可能性がある。ウクライナ軍参謀本部は21日、ロシア軍の損耗人数が1日で1700人あまり増えたと発表した。ロシアがウクライナで拡大して2年8カ月ほどたつ戦争でも、ロシア軍の人員の損失がとくに多い日になった。 この戦闘は戦争全体の縮図になっている。ロシアは、少しずつ土地を獲得していっているという意味では勝利している。だが、それと同時に、補充できる以上の人員を失っている。ロシアが相当な数の北朝鮮兵をその戦争努力に参加させるよう手配したらしいのは、理由のないことではない。ロシアは新鮮な兵士を必要としているのだ。 クラホベ方面の直近の戦闘は激しい接近戦だった。この方面の南側では、ロシア軍の自動車化狙撃部隊が歩兵戦闘車19両、戦車4両でウクライナ空中強襲軍(空挺軍)第79独立空中強襲旅団の陣地に突進してきた。 第79空中強襲旅団は、熟練の対戦車ミサイル兵やFPV(一人称視点)ドローン操縦士を擁する。彼らは20日にさらに経験を積んだ。「われわれの空挺兵たちはまたもや侵略者に温かいおもてなしをしました」と同旅団は報告している。 第79空中強襲旅団の説明によれば、ロシア側の歩兵戦闘車5両と戦車1両を撃破し、人員24人を殺害した。「生き延びた装甲車両はわれわれの対戦車ミサイルと攻撃ドローンに恐れをなして逃げ去った」という。 同じ方面の少し北では、ロシア軍はもっと運がよかった。たしかにロシア軍部隊の前衛は、装甲を強化したレオパルト2A4戦車を装備するウクライナ陸軍第33独立機械化旅団によって粉砕された。レオパルトは走行中のロシア軍車両数両に120mm砲弾を命中させている。「この兵器の精度はとんでもない」と同旅団は書いている。 それでもロシア側は、それなりの数の兵士らを前方に送り込むことに成功し、マクシミリヤニウカの西の端を制圧し、廃墟化したこの村の支配を固めた。