天皇即位も活用、「屈辱的」と批判されてまでトランプの歓心を買った安倍晋三元首相
米国の第47代大統領に当選したドナルド・トランプ氏が来年1月に発足する内閣とホワイトハウスに自分に対する忠誠心の高い人物を大挙抜てきしていることを全世界が警戒している。次期政権の国務・国防長官をはじめとする主要人物がトランプ氏の指示を積極的に実行する役割にとどまるとの観測が高まっている。結局各国首脳がトランプ次期大統領とどうやって友好的な関係を築くかによって、国益が左右される時代へと巻き込まれているのだ。 【写真】 2019年トランプ米大統領(当時)の公式訪日時に日本政府が提供した特製ハンバーガー
とりわけ日本の警告音は大きい。トランプ政権1期目の当時、安倍晋三元首相はトランプ氏と「ブロマンス(ブラザーとロマンスの造語で、男性同士の独特の友情を指す)」の関係を結び、日米同盟を格上げしたのに対し、今の石破茂首相はトランプ氏の優先順位で後回しにされているからだ。トランプ氏が大統領選挙の勝利直後、各国首脳と通話した際、石破首相の順番は韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の後だった。通話時間も尹大統領が12分だったが、石破首相は5分だった。石破首相は南米で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する機会に米国に立ち寄り、トランプ氏と会おうとしたが、それも実現しなかった。 このような現状から安倍元首相の「トランプ攻略法」が再び注目を集めている。トランプ氏は1期目の大統領選遊説当時、ツイッターに日本の真珠湾攻撃で数千人の米国人が命を失ったことを強調する投稿を行い、韓国だけでなく、日本の米軍駐留費分担問題を集中的に取り上げるなど、日本にはそれほど友好的ではなかった。安倍氏とトランプ氏は、2016年11月にトランプ氏が第45代米大統領に当選するまで面識もなかった。 しかし、トランプ勝利が確定した直後、安倍氏はトランプ氏と電話会談し、9日後の11月17日、ニューヨークのトランプタワーを訪れた。日本の首相が次期米大統領を就任前に訪ねたのは非常に異例だった。安倍氏はトランプが全世界に数十個のゴルフ場を所有する「ゴルフマニア」であることに注目し、本間ゴルフの最高級ゴルフクラブをプレゼントした。当時日本の外務省は、任期が2カ月残ったオバマ政権から「報復」を受ける可能性があると言ったが、安倍氏は気に留めなかった。トランプ氏は自分が欲しがっていたプレゼントを差し出し、「一緒にゴルフをしたい」と言った安倍氏に好感を抱き始めた。 トランプ氏は就任直後の2017年2月、安倍氏をワシントンに招待。首脳会談後に大統領専用機「エアフォースワン」に同乗させ、自分の別荘があるフロリダ州パームビーチに招待した。翌日両氏は朝食後、一緒にゴルフを楽しんだ。18ホールに続き、午後に予定になかった9ホールを追加した。夕食も共にした。2度目の出会いで、1日3回の食事を共にし、27ホールのゴルフをしながら意気投合した。1980年代のレーガン元大統領と中曽根康弘元首相による「ロンヤス関係」の再現だという観測も出た。