大手出版社と直接取引できるようになるのは”来世紀中”は無理!?[第1部 - 第8話]
インターネットの衝撃と「インターキュー」との出会い
加藤:そんな閉塞感に苛まれた1995年の春先、某ツーショットダイヤル事業者のオーナーが電話で「インターネットって知ってるか?」と聞いてきました。「知らないです」と返すと、「アメリカでは、今インターネットっていうのがあって、俺たちみたいなマッチング産業を電話じゃなくてインターネットでやってるんだ」って言うんです。デモンストレーションがあるから一緒に見に行こう、と誘われて行ってみると、インターネットを電話回線でつなぐときの「ピーヒョロロ」という音が流れてきて、「なんだこれは!」と衝撃を受けました。僕はすぐにMacにつなぐモデムを購入して、自分でもインターネットに接続してみました。 マッチング産業がこっち(インターネット)に移ると確信しましたね。僕が今までやっていた「電話回線に電話して……」みたいな世界は終わる。「もう、絶対こっちや!」と思いました。でも僕にできることは、広告を売ることだけです。だから、インターネットを普及させる会社の広告を雑誌に打とう、と最初に決めました。 そんな折に、熊谷正寿さん(現GMOインターネットグループ代表取締役)と、徳間時代まで同僚だったダイヤル・キュー・ネットワークの元社長玉置真理さんが組み、ダイヤルQ²を使ってインターネットに接続する「インターキュー」というインターネット・サービス・プロバイダ(Internet Service Provider、以下ISP)を立ち上げました。このサービスの誕生には、僕も深く関わりました。誰でも1分でインターネットにつながる社会を実現するという「インターキュー」の広告掲載を、日広が担うことになったんです。
インターネットとパソコン雑誌の世界に風通しの良さを感じた
加藤:そういった経緯で最初に広告枠を仕入れに行ったのが、株式会社インプレス(以下インプレス)でした。 杓谷:インプレスはこの連載が掲載されている『Web担当者Forum』の運営会社でもありますね。
加藤:インプレスは、アスキー(ASCII)の創業メンバーである郡司明郎さん、塚本慶一郎さんが、同じく創業者の西和彦さんと袂を分かって1992年4月に市ヶ谷に設立した会社です。僕がインターネットのことを猛勉強していた1995年の夏頃によく読んでいたのが、インプレスが出版していた『iNTERNET magazine』でした。