見どころたくさん!東京・玉川上水をたどるハイキング③玉川上水駅から拝島へ
かつて江戸市中を潤した玉川上水。400年近くもの時を経た今では緑道が整備され、豊かな自然が保たれている。町並みや移ろう自然風景だけではなく、近現代の遺構や技術の結集も点在しており、いろいろな発見や学びが得られるのもおもしろい。
玉川上水駅からスタート
玉川上水ハイキングも後半のパート。3区間目は玉川上水駅からスタートする。 多摩都市モノレールの高架が頭上に延びる駅南口に降り立つと、まさに駅名にもなっている通り、すぐ間近に清らかな玉川上水が流れている。緑道は両岸にあるが、これまで左岸を歩いてきたこともあり、今回も左岸の道へ。
玉川上水駅付近のS字蛇行の謎
ここで地図を俯瞰してみると、玉川上水駅から西は、一部西武拝島線から離れてカーブしている。また、そもそも玉川上水駅の部分も北に向かって山折れに屈曲しているので、玉川上水駅付近はS字状に蛇行している形だ。これはいったいなぜだろう?
ここで、標高色分けの地図を確認してみよう。まず目に入るのが、玉川上水駅付近から南東に向かって延びる顕著な高低差の筋だ。これは国分寺崖線(こくぶんじがいせん)の一部で、玉川上水駅あたりがちょうどその北西端の場所になっている。この国分寺崖線を避けるために、玉川上水は北に屈曲しているのだ。
続いて玉川上水駅の西側のカーブ部分を見てみる。ちょうどカーブあたり、わずかに高くなっている部分が北から南に張り出しているのがおわかりだろうか。西からまっすぐに流れてくるとこの張り出しに突き当たってしまうので、これを乗り越えるために最小限のカーブで迂回しているように推察される。 また余談だが、ちょうどこのカーブしている部分の金比羅橋から、北に向かって道路が熊手のように枝分かれしているのが、興味深い。付近には大山道(おおやまどう)が通っていたり、金比羅橋の交差点には馬頭観音もある。玉川上水のこのカーブは古道との兼ね合いもあったのだろうか。
玉川上水が川の下をくぐる?
S字カーブ区間を抜けるとやがて緑道は直線区間に入り、車道脇の細い土道となる。このあたりは周囲が開けて、見通しがよい。右手には西武拝島線が並行し、武蔵砂川駅を横目に通り過ぎる。 所々にある小さな橋のたもとからは、とうとうと流れる玉川上水が間近に見られる。玉川上水の下流部は深く掘り下げられていた箇所が多かったが、このあたりは水面が近い。 やがて北から流れてくる残堀川(ざんぼりがわ)にぶつかる。残堀川といえば、以前狭山丘陵のトンネル群を訪れた時を思い出す。(仮称)羽村・山口軽便(けいべん)鉄道の軌道跡に残堀砕石場跡地があり、その脇に残堀川が流れていた。ここはその下流に位置するのだ。 看板をよく見ると、「ふせこし(サイホン工法)」と書いてある。どうやら玉川上水は、残堀川の下に潜り込んでいるらしい。水が伏せて越すという意味だと思うが、玉川上水と残堀川の上下関係はどう決まったのだろう。